第四十八話 会食その五
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「彼等は自分達のそのことに気付きました」
「そして過ちを反省したんですね」
「そうしたのです」
「そうなんですか」
「アメリカの歴史自体も過ちと反省の歴史です」
人種的にそうだというのだ。
「多くの偏見が表面化しそれを克服してきました」
「黒人のことも日系人のことも」
「他のルーツの人達もです」
そのイタリア系やドイツ系もまた然りだというのだ。
「それは今も同じです」
「今もなんですか」
「アメリカには今も人種的偏見があります」
「そういえば黒人もまだ」
「黒人、アフリカ系の問題はかなり解消されてはいます」
「そうなんですか」
「確かに差別は残ってはいます」
このことは否定出来なかった。黒人、即ちアフリカ系アメリカ人の問題は確かに今も根強く残っているのだ。
だがそれでもだと、大石は言う。
「キング牧師達の残した遺産は残りさらに豊かになりました」
「豊かにですか」
「そうです。だからアフリカ系の大統領も生まれました」
永遠の夢と思われたその大統領もだというのだ。
「そしてこれからもです」
「偏見を無くしていくのですね」
「そうなります。次第に」
「KKKをはじめた人が黒人との融和に務めたなんて凄い話ですね」
「私もそう思います。ですが」
「それがアメリカなんですね」
「そうです。アメリカという国は確かに負の一面が多い国です」
人種差別一つを取ってもそうだ、それはかなり根深くもある。
だがそれとは別に、それを克服しようという面もあるというのだ。
「そしてそれは常に拮抗していますが克服していっています」
「日系人の人達は」
「今では名誉を回復しアメリカ人の中でも高い評価を受けています」
「そうなんですね」
「偏見は偏見に過ぎません」
実に小さなものだというのだ。
「鏡の曇りはどうなりますか」
「拭かれて終わりです」
上城はすぐに答えた。
「それで」
「そうです。偏見はそういうものです」
「曇りですか」
「はい、拭かれて終わりです」
本当にそれで終わりだというのだ。
「大したものではありません。しかし鏡にあるものは」
「自分自身を写し出すものですか」
「この場合は光です」
鏡はただ己を映すだけではない。光を反射することもできる、大石が今言う鏡とはその光そのものなのだ。
「光は消えませんね」
「曇りは拭いて終わって」
「はい、光は残ります」
「そうなるんですね」
「差別は確かにあります」
これはまたそうだと言う大石だった。
「ですがそれは小さなもので」
「正しいことはより大きいのですね」
「それに気付ければ人はいい意味で変われるのです」
そして過ちを正せるというのだ。
「誰であっても」
「僕でもですか」
「そう
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