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久遠の神話
第四十八話 会食その四
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 それも他の判事達に働きかけて全員一致でだ。これでアメリカの人種問題は大きく前進したのである。彼の手によって。
「そうなんですね」
「元々黒人とは親しい立場にあった人ですが」
「それでもですか」
「はい、彼は人種差別主義者から人種主義を否定する考えになったのです」
「変わったんですね」
「そして日系人への差別を反省して、です」
「黒人問題の為に動いたんですね」
 上城は難しい顔になって述べた。
「裁判官の立場から」
「確かにキング牧師の存在は大きかったです」
 彼の行動なくしては黒人問題は前進しなかった。キング牧師はアメリカの歴史に永遠に残る偉人の一人だ。
「しかし彼だけでなくです」
「ウォーレン最高裁長官もいてですか」
「黒人問題は前進したのです」
「何か複雑ですね」
 上城はここまで聞いてこう言ったのだった。
「本当に」
「そうですね。人種差別主義からそれを否定する立場になりました」
「逆ですね、何もかもが」
「これもまたアメリカの歴史です」 
 大石もまた否定から肯定の言葉を述べる様になっていた。
「人種差別主義者が融和主義になっていくのもまた」
「そうした人もいるんですね」
「そうです。先程名前が出たKKKもです」
 彼等もだというのだ。
「あの団体の創設者であるフォレスト大佐ですが」
「KKKってとんでもない団体ですよね」
「まだ僅かに残ってはいます」
 その勢力は大幅に弱まったがそれでも残っていることは残っているのだ。
「今も」
「それでそのKKKの創設者の人もですか」
「そもそもフォレスト大佐は当時の白人社会から見て南北戦争後調子に乗っていたと見える黒人達を懲らしめる為にKKKを創設しました」
「懲らしめる、ですか」
「夜道にあの白い格好で歩き驚かせたりしてそうしていたのです」
 これが当初のフォレストの考えだった。だがこうした組織は暴走することが多い。
 それはクランも同じでどうなったかというのだ。
「ですがKKKはやがて上城君が知っている様な団体になりました」
「黒人を虐待したり殺したりですね」
「そうした醜悪で過激な行動に走る様になり」
 そしてだというのだ。
「彼はKKKから離れました」
「そうなったんですか」
「そして次第に黒人社会に接近しました」
 これも歴史にある。
「最後は黒人達の前で融和を訴える演説もしています」
「全然違いますね」
「彼も変わったのです。そもそも」
「そもそも?」
「彼もウォーレン長官も元々高潔な人物として知られていました」
 人種主義だった、だがそれでもだというのだ。
「ですから目覚めたならです」
「行動に出たんですか」
「そして高潔な人物であっても人種差別を行うことがあるのです」 
 今は絶対に否定
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