第三十四話 トラックその八
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五人は風呂と夕食、そして酒の後で部屋に戻ってだった。
明日行く厳島神社のことを先輩達からも聞いた。二人の先輩はこの日も酔っている状態だがそれでも言葉は確かだった。
「いいから」
「もう凄くね」
「あんな綺麗な神社他にないわよ」
「この世のものでないみたいよ」
「そうらしいですね、実は私も」
景子は先輩達に応えながらこう言った。
「あの神社に行ったことはないんです」
「えっ、景子ちゃん厳島神社に行ったことはないの」
「そうなの」
「近畿の色々な神社はあるけれど」
だがそれでもだというのだ。
「厳島神社はね」
「そうだたの、なかったの」
「これまでは」
「出雲大社には行ったけれど」
日本の神社の中でもとりわけ格式の高いこの神社はあるというのだ。
「それでもね」
「厳島はないの」
「そうだったの」
「話には聞いてたわ」
それはあるというのだ。
「けれどね」
「じゃあ楽しみよね」
里香は残念そうに語る景子にこう尋ねた。
「明日行くのが」
「かなりね、はじめてだから」
だからこそ余計にだというのだ。
「楽しみよ」
「そうよね」
「あの神社は平家ゆかりの場所で」
景子はさらに話していく。
「それに毛利元就よね」
「厳島で戦ってもいるしね」
俗に言う厳島の戦いだ、毛利元就は隣の大家大内家を牛耳っていた陶晴賢の二万の軍勢を厳島に誘い込みそこで破ったのだ、そこから彼の中国地方での覇権がはじまった。
「歴史にもよく出て来るわ」
「そうした神社よね」
「ええ、そうよ」
里香は歴史での厳島神社のことを話した。
「あそこはね」
「凄い場所よね」
「私も行ったことないけれど」
里香もだった、もっと言えば五人の誰もまだ厳島には行っていない。
「あそこは幻想的だっていうわ」
「余計に行くのが楽しみね」
「そうなるわ、ただ」
「ただって?」
「あの神社って時々建て替えるわよね」
「他の神社もそうよね」
「ええ、神社は木製だから」
木で造る、神社はそうするものだ。
「何十年かに一度ね」
「それは厳島神社もだから」
それでだというのだ。
「けれど海の中にあるから」
「木が浸食されるからよね」
「他の神社よりよく建て替えられるのかしら」
こう里香達に言うのだった。
「やっぱり」
「そうなるんじゃないかしら、けれどね」
「けれど?」
「こういうことって私より景子ちゃんの方が詳しいでしょ」
里香は景子に少し戸惑う目で問うた。
「神社のことは」
「ううん、本当に厳島神社のことはあまり知らなくて」
「それでなの」
「近畿の神社については勉強してきたわ」
何しろ現役の巫女であり将来は神社の奥さんになるつもりだ、神社のことを勉強しないでは
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