第二幕その六
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第二幕その六
「天よ、我が願いを聞き給え。我が歌を神に捧げ酬となって聞き給え」
「流石だ」
「うむ、見事だ」
また貴人達はヴォルフラムの言葉に満足した顔で頷くのだった。
「やはり彼の歌こそが」
「最も素晴らしいか」
「この高貴にして純潔なる惑いより罪は追放されよ。汝に我が愛は感激もて響け。愛はうるわしき天使の姿で魂に入っていく」
歌をさらに続ける。
「汝は神の僕として近付き私は静かに従おう。汝は汝の星の場所で輝く国へ私を導く」
「だからそれは違うというのだ」
タンホイザーはまたしてもヴォルフラムの歌を否定するのであった。エリザベート以外の誰もがそれを見て再び顔を顰めさせる。
「愛の女神よ」
竪琴を手に歌いだす。
「汝の為に我が歌よ響け!汝を讃える歌を歌おう!」
「何っ!?」
「何だと!」
誰もが今のタンホイザーの歌に驚く。
「愛の女神だと」
「この男、まさか」
「汝の甘き魅惑こそ全ての美の源、全ての優しき奇蹟は汝より生ずるのだ」
「まだ歌うか」
「やはり」
「灼熱もて汝を腕に抱く者のみ愛の何かるかを知る。貴女の愛を知らぬ者こそ哀れだ」
そして遂に叫ぶように歌った。
「行くのだ、ヴェーヌスベルクに!」
「聞いたな!」
「聞いたぞ!」
「今聞いた!」
皆一斉に叫ぶのだった。
「ヴェーヌスベルクに行っていたのか!」
「あの悪徳の場所に!」
「貴婦人方は逃げられよ!」
貴族のうちの一人が叫んだ。
「あの男を避けるのだ!」
「あの背徳の男から!」
「許すな!ここから出すな!」
貴婦人達が殿堂から逃げ去る。エリザベートはただ一人青い顔で留まっていたがそれは彼女だけだった。貴人達も歌手達も剣を抜く。そうしてタンホイザーに詰め寄ろうとする。
タンホイザーは悪びれることもなく彼等に向かい合う。しかしここでエリザベートが立ち上がり叫ぶのであった。
「お待ち下さい!」
「!?姫!」
「まだこちらに」
「この方に剣を向けるのは止めて下さい」
こう言いつつタンホイザーと騎士達の間に入る。無数の剣の前に身体を向けてさえいる。
「どうか。ここは」
「しかしこの男は」
「あの悪徳の場所に」
「それがどうしたというのですか」
強い顔でタンホイザーの前に立ち騎士達を見据えつつ語る。ヘルマンはそれを静かに見ている。ヴォルフラムは離れた場所にいて他の歌手達は険しい顔をして彼の周りに集っていた。
「確かに彼は罪を犯しました」
「そう、許されない罪を」
「彼は犯しました」
「だからです」
まだエリザベートに詰め寄ろうとする。
「退かれよ」
「この男を今すぐ我等の剣で」
「ですがその前に果たすべきことがあります」
「果たすべきこと?」
「そうです」
強
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