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神葬世界×ゴスペル・デイ
第一物語・後半-日来独立編-
第四十二章 秘めし決意《2》
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他人の方がそれはいいに決まっている。
 家族とは一番親しい間柄であり、そこにどんな事情が挟んでようとも家族は家族なのだ。
 愛されようとも、殴られようとも、笑い合おうとも、拒絶されようとも。
 根本的感情に負の感情さえなければ、亡くなるのは自分や家族以外の誰かの方がいい。
 だが、今目の前の騎神から聴こえた言葉はこう言っていたのだ。
 救いに行けば家族の命が危なくなる。しかし救いに行かないということは、今まで自分達を護ってきてくれた一族を裏切る行為だと。
 命と意志。
 どちらかを犠牲にしなければ、どちらかを得ることは出来無い。
 自分は彼らのことを何一つ理解していなかった。これでは後でこっちの長に怒られる。
 弱いくせに他人を気遣い、場数を踏んで人との繋がりを深めてきたあの馬鹿と呼ばれている長。
 本当に馬鹿だ。
 よりによって好きになる相手が辰ノ大花を治めてきた一族の唯一の生き残りで、一度拒絶されながらもまた告りに行こうとしているのだから。
 きっとこの場に彼がいたなら、間違い無くこう言うだろう。
「分かったよ、救いに行く」
 自分からそれを行おうとする。
『……ありがとうございます。本当に……ありがとう、ございます……』
 泣いていた。
 握りながら泣かれるのは初めての経験だったので、何やら新鮮なものに感じた。
 遅れてしまったが、長はこうも言うだろう。
「一緒に、だよ? 一緒に救おうね」
『……はい。きっと仲間が準備に取り掛かっている筈です』
「ふふ、初めからそうすればいいのに」
『本当ですよね。なんでもっと早く気付かなかったんだろう。もっと早く気付いていれば、こんなにも悩まなくて済んだのに……』
 握りを緩めてくれたので、するりと抜け出す。
 まだ熱があるものの全身を冷やしたお陰か、かなり具合は良くなった。
 魔力を使うのは、多分これ以上無理だろう。
 久し振りに多くの魔力を使ったせいか、魔力暴走がかなり早く起こってしまった。
 魔力暴走を遅らせることが、これからの課題だろう。
 なので魔箒|《イビルブルーム》は使わず、自身の翼で飛ぶ。
 大きく一呼吸。
 押し潰されていた肺を膨らませるように、一回。たくさんの空気を取り込んだ。
 そして吐く。
 熱が内側から外へ吐き出されるような気がして、涼しい感覚を覚える。
 マギトは笑みで騎神の顔を見て、
「生きるのって、難しいよね」
『はい。でも楽しいです』
「死んだらもう何も楽しめないのに、なんでこうもやり合うことが――」
『大丈夫ですか!?』
 急に気を失い、力無く落ちそうになったマギトを騎神が自身の手に載せた。
 先程の苦しみの影響なのか。
 だが、心配はいらなかった。
 力は無いがすやすやと、まるで赤子のように寝ていた
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