第一物語・後半-日来独立編-
第四十二章 秘めし決意《2》
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機を噴かし火炎ノ緋翼は戦竜へと激突する。
相手となる戦竜は片手だけで流魔刀を操り盾とし、後方へ行くのを加速機を噴くことで防ぐ。
そして鍔迫り合いのなか、
『必ず世界はお前達を潰しに来る。それでもやるのか!』
「どんなに目の前の存在が強大であろうと、アタイら日来の連中は――」
●
「私達、日来は――」
「我々日来の者達は――」
「アタイら日来の連中は――」
●
「「「進んで行くと、そう決めた!!」」」
●
「だったら相手が強かろうがなんだろうが進んでく。だって日来は“日が来訪する場所”、暮れてもまた明ける。どんなに絶望したってまた希望を持ち立ち上がる、立ち上がれる」
内臓が焼かれるような痛みを得ながら、必死にマギトは言葉を飛ばした。
日来は弱くても抗えると。
だから君達も抗えると。
人を頼ることでは自分のためにはならない。
自分の価値を下げるだけだ。
時には頼ることも必要だが、されど時には自分で無茶をしてでもやり遂げることも必要だ。
今、自分は騎神の冷却機器により涼められている。
騎神の操縦者が行ったものであり、他人を気遣えるその気持ちがあるのならば、きっと長を自分達の手で救えただろうに。
自らを下げるようなことを言わなければ、自信を持って自身らの長を救いに行くことが出来ただろう。
「悔しくないの……? 救いに行けなくて」
『――そんなの、悔しいに決まってるじゃないですか』
声を聞けば、それはすぐに分かった。
『僕達、辰ノ大花はどうしたらいいか皆が皆、迷っています。ある者は長を救うことは黄森に逆らうことであり、家族を危険に晒すと言った。
ある者は例え長を救い出せたとしても、今のままでは辰ノ大花は黄森の尻に敷かれたままで何も変わらないと言い、救出には否定的な者もいます。
またある者は苦しみから長を救うことは、この世よから解放することなのではないかと言う人もいます』
知らなかった。
辰ノ大花でも、長のことについて悩んでいたことを。
まだ自分は身の回りのことしか見えてない、とマギトは反省する。
反省すると同時に、操縦者の声を聞いた。
『皆、長のことは好きです。辰ノ大花を古くから治めてきた一族の愛娘であり、小さい頃から皆は長の成長を見守ってきました。ですが、どんなに敬ったとしても自分達の家族と比べたら……どちらかを命の天秤に掛けなければならないとすれば、その命の天秤には家族など到底掛けられません。
しかし、長を命の天秤に掛けることは辰ノ大花を護ってきた者を見捨てることと同じことです』
「だから迷ってるんだね。救うかどうか、を」
理解出来無くも無い。
家族の命が危うくなるのならば、変わりにどんなに敬っていた人であっても
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