第一物語・後半-日来独立編-
第四十二章 秘めし決意《2》
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
放つ。
これは容易く避けられるが当てる気は無かったので、狙い通りと言えば狙い通りだ。
「ああ、それでも行くさ。日来の最終的な目的は崩壊進行の解決だからね」
『崩壊進行の解決、だと……?』
崩壊進行。
終焉の予兆ともされ、高濃度流魔が創生区域に進入してくることを指す。
始まりは流活路からの流魔の異常放出により、大気中に流魔が溜まり高濃度化する。
流魔は全てを構成する祖源体であり、高濃度になったそれを浴びれば突然変異に似たものを起こす。
殆どのものはこの際の変化に耐えられず死に絶え、そんな現象が今まさに静かにだが起こっているらしい。
各国も頭を悩ませる難題に、一地域の日来が挑むなど馬鹿馬鹿しいにも程がある。
『狂っているな』
「外から来た連中によく言われる。だけど死にたくないからやるんさ、自分達のためにね」
『英雄にでもなるつもりか』
「そうじゃないさ。崩壊進行の解決には他の国や地域の協力を仰ぐつもりさ。皆、仲良くってね」
『お気楽過ぎる。いずれ沈むぞ』
「なんとでも言いな。そういう温い感じが日来には合ってるんだからさ」
戦竜は距離を詰め、連撃を繰り出すが入直はそれを上手い具合に防ぐ。
離れては刃と刃はぶつけ合い、火花のように流魔が散る。
痛覚の伝播は弱いものなので、どれくらい力を出していいのか分からないが大体の範囲で出す。
冷たい音を響かせながら空を行き、混じるように幾度も交差した。
入直の方には遠距離武器があるからいいものの、相手の戦竜は近距離武器しか今は所持していないため離れないようにと追う。
「二重に吠えろ、炎熱火砲――!」
『面倒だな……ほんとに!』
背を向け距離を離していた火炎ノ緋翼は反転し、振り向きざまに砲撃を放つ。
二回に渡る砲撃は一撃目を二撃目が食らう形で、追って来る騎神を一直線に狙ったものだ。
身体が障壁となり相手の判断を遅らせた結果、
『左腕がやられたか。まあ、いい。利き手の右手さえ残ってればな』
前よりも出力を上げたために早く行く砲撃は、青の騎神の左腕を付け根から焼いた。
結果、左腕は焼き溶けて無くなっていた。
燃料がしぶきのように上がり、安全機器が働いたのかそのしぶきは途端に止んだ。
痛覚機器により痛みが通っている筈なのだが、戦竜の様子は至ってこれまでと同じだ。
これには入直は関心した。
「片腕失っても平気ってかい」
『痛覚を切ったからな。にしても、その砲撃は厄介だな』
「余裕ぶってるのかそうじゃないのか分からないね。どっちにしろ片腕だけじゃキツいだろうさ、実戦装備でもないんだしね」
『これでも宇天学勢院の騎神操縦者のエースなんでね、負けるわけにはいかない』
「ふん、いい意気じゃないか」
陽炎が立つ火砲を火剣へと変え、加速
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ