プロローグ
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一○月三○日。
学園都市とイギリス清教。
ローマ正教とロシア成教。
二つの勢力の争いが生み出した第三次世界大戦は終結した。
終戦間際、神の右席「右方のフィアンマ」の空中要塞、「ベツレヘムの星」が北極海に墜落。
同じく北極海にて、大天使ミーシャ・クロイツェフの反応も消失。
力の大半を失い、ただの莫大な力の塊となって別の位相へ帰ったと推測する。
同海域において生存者の反応はなし。
上条当麻。
彼は、二度目の「死」を迎える事となる。
「……はい。死んでなくてゴメンナサイ」
不幸だ、と呟き周囲の通行人に変な目で見られるツンツン頭の少年。
彼は学園都市“ではない”場所にある高校へ向かっている。しかも、入学式。新入生総代というオマケ付きで。
そして、「ココ」はそもそも上条のいた世界ではない。
「……魔法、ねぇ」
この世界では、“魔術”に代わって“魔法”が使われている。今上条が向かう高校も、「国立魔法大学附属第一高校」という魔法を学ぶための学校だ。
この学校は在籍するだけでエリートという難関高校で、倍率もハンパない。お偉いさんのご息女ご子息が通うので、上条はこの世界の情報を集めるためここに入学することにした。
ちなみに戸籍はもう手に入れてある。
この国の機密組織(名前は忘れた)に所属する風間とかいうおじさんに、調べあげた機密情報を突き付け、適当に空間移動とかで脅しをかけたら、その組織に所属するという交換条件を飲む代わりに、身元、住居、年齢など、全ての個人情報の提供をしてくれた。
そして、上条も驚いたが今の西暦は二○九五年。
どんだけ進んでんだよ、と溜め息を吐く。
上条はメモ用紙を広げ、調べたこの世界の常識に目を通す。
魔法。
それは当初、「超能力」と呼ばれていたらしい。
純粋に先天的な、突然変異で備わる能力であって、共有・普及可能な技術体系化は不可能と考えられてきた。
(……ここらへんは俺らの世界でいう“原石”とかに似てるな)
しかし。東西の有力国家が「超能力」の研究を進めていく過程で、少しずつ、「魔法」を伝える者たちが表舞台に姿を見せた。「超能力」は「魔法」によって再現が可能になった。
無論、才能は必要だ。だが、高い適性を有する者のみがプロフェッショナルと呼べるレベルまで熟達できる、という意味では、芸術分野、科学分野の技能も同じ。
超能力は魔法によって技術体系化され、魔法は技能となった。「超能力者」は「魔法技能師(略称「魔法師」)」となった。
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