第5章 契約
第69話 シャルロット
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ます。しかし、飛霊のような高位の分身の場合、その能力に比例する形で返やりの風自体お大きな物と成り、場合に因っては、俺自身が死亡する可能性もゼロでは有りませんから。
刹那、顕われ出でる俺の現身。その右手には、俺からコピーした如意宝珠『護』製の七星の宝刀を携える、俺の完璧なコピーの飛霊二体。
一際高く上げられる咆哮。しかし、その声に応えるのは蒼銀の閃きと、周囲を眩く照らし出す雷光。
そして、威嚇の咆哮が、怨嗟の叫びと変わる。
タバサの寝台に施した結界は未だ健在。
但し、同時に澱に沈んだかのような暗闇の先から繋がる因果の糸が健在で有る以上、この糸を伝って、疫鬼が、牛頭鬼が、更にそれ以上に厄介な存在が顕われるのは間違いない。
刹那、俺が一番聞きたくない少女の悲鳴が聞こえた。
どちらの少女の声かは判らない。しかし、これは間違いなく絶望の悲鳴。
更に、その後に続く……。
何か、巨大な物体が闇の奥深くに蠢く気配。
そして感じる猛烈な威圧感。今回顕われたそれと比べたら、前回、ブレストの街に顕われた水の邪神が、飽くまでも主神に対しての眷属神に過ぎない事や、魔眼の邪神が小神に過ぎない事は簡単に理解出来る。
どの相で顕われたのか。須佐之男命としての相か、もしくは、今回の事件……疫病を流行らせる疫病神、牛頭天王としての相か、
それとも、それ以外のもっと厄介な暗黒神を体現した姿か……。
俺の思考が闇の奥に持って行かれるその刹那、因果の糸を辿るかのように叩き付けられる巨大な黒き腕。
その腕が産み出す絶望的な破壊力がタバサの寝台に施された結界を、たった一度の攻撃で粉砕。
但し、流石に一度の攻撃では其処まで。次の攻撃までの間に、僅かなタイムラグが発生する。
「疾!」
その一瞬のタイムラグに、自らに防御用仙術を施しながら寝台に眠るはずの少女の元に駆け寄る俺。
三歩進んだ段階で遙か眼下から巨大な何かが動く気配を察し、更に肉体強化のレベルを上げる。
其処から更に二歩進んだ瞬間、自らの背後に忍び寄る何モノかを感知。
一歩で寝台に眠る蒼き美少女を抱え上げ、次なる一歩で彼女を自らの背中で完全に隠す。
その瞬間、背中に猛烈な神の気の放射を感じた。
しかし!
その猛烈な神の気を感じたのも一瞬。次の瞬間には、後方に向かって吹き飛ばされるその何か。
そう。例え濃密な呪いを纏って居ようとも、放たれた拳が纏う破壊力は物理的な物。
更に、俺が自らに施したのは――――
すべての物理攻撃を一度、たった一度だけ反射する魔術回路が何もない中空。俺と、タバサを狙って放たれた黒き拳の丁度中間点に現れ、
そして――――
まる
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