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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第69話 シャルロット
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た物が夢の世界に影響を与えた可能性が有る以上、あの頭骨に関しては、夢の世界の住人である彼女が知らなくても仕方がない事ですか。

 そう納得した瞬間、夢の世界に揺らめきが発生した。

 そう。今回はかなり穏やかな目覚めに成るのは間違いない雰囲気。
 ただ……。

 シャルロット……。タバサの妹が、自らの姉を見つめる。
 そして、まったく同じ容貌と、雰囲気を持つ姉の方もまた、自らの妹を見つめ返した。

 そうして、短い空白の後、双方が同じタイミングで微かに首肯いて見せる。

 この空白の意味は、おそらく何らかの【会話】を交わした空白。
 タバサが【念話】を扱えるのは当たり前ですが、何故かシャルロットも【念話】が使用可能でした。
 夢の世界で出会った最初から。
 もっとも、【念話】自体は因果の糸が繋がっている相手にならば繋ぎやすい物で、ある程度の魔法の才能が有る存在ならば使用可能なのですが……。

「何処に居たとしても、どんなになって居たとしても必ず見つける」

 遠ざかって行く彼女にそう声を掛ける俺。
 ただ、その瞬間に右手をそっと握る俺の相棒。

 微かに首肯く彼女の姿が薄れて行く。
 夢の世界の終り。儚い邂逅の終わりに相応しい雰囲気。

「必ず」

 何処か……。
 ……まるで、何処か遠い世界から響いて来るような彼女の声。

「迎えに来て欲しい」

 何処かで聞いた事の有る懐かしい声の響き。
 奇妙な既視感。ずっと以前……。何処か遠くで出会った事が有るような非常に曖昧な記憶。そしてその瞬間、俺の瞳を覗き込むようにした少女と重なる彼女に良く似た少女の面影。
 蒼銀の髪の毛。白磁の肌。湖の乙女や崇拝される者と同じセーラー服姿に黒のハイソックス。

 最後に、俺を一途に見つめる紅き瞳。

 その瞬間、思わず伸ばした左手が空を掴み――――
 そして……。

 そして、彼女の答えも聞こえない内に、俺の意識も淡い色合いの光に包まれて行った。
 ただ、この部分だけは現実の、柔らかな右手の感触のみを残して……。


☆★☆★☆


 緩やかな微睡の中に、瞑った目蓋の裏に穏やかな光が透けて見える。
 右手を軽く握ると、同じように握り返して来る柔らかな感触。

 ゆっくりと瞳を開ける俺。
 窓から差し込んで来る朝の陽光が、薄い紗のカーテンの影を床と、そして彼女の寝台に作り上げ、
 柔らかい風が、そのカーテンを揺らした。

 ぼんやりとした、未だ半分眠ったままの頭と瞳で、繋がれた右手に視線を移す俺。
 細く繊細な……。まるで、ガラスか水晶の如き繊細さで、強く握り締めると、そのまま壊して仕舞い兼ねない彼女の左手。
 そう。指と指を絡めるように。手の平と手の平を合わせるよ
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