第一部 剣技
第2話 剣の授業 (2)
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俺の呟きに長文返事してくださる優等生アスナさん。俺は「わかりましたよ」と溜め息混じりに言った。
「キリト君、同時にやりましょう」
「え、誰を?」
「変なボケ挟まない! お手本、一緒にやろうって言ってるの!!」
「……はい」
俺もアスナも、真っ直ぐに立てられた、それぞれのターゲットの丸太を見据えた。
「──せぁぁっ!」
「いやぁぁっ!」
気合いと共に、同時に剣を振りかぶる。俺は片手剣ソードスキル?ホリゾンタル・スクエア?を繰り出し、アスナは細剣ソードスキル?オーバーラジェーション?を繰り出す。
俺の片手剣とアスナの細剣は、丸太に引いてあるライン上に命中した。俺が斬った丸太はラインより上の部分がスパンと飛んでいき──言い忘れたがここはグラウンドなので、きっと大丈夫だ──、アスナが突いた丸太はグラリと揺れ、ライン上部分は倒れた。
いつもの癖で、剣を左右に斬り払うと、クラスメートたちが「おぉっ!」と歓声を上げた。
調子に乗って、丸太を更に細かく斬ってやろうと、剣を再び振りかぶると。
「……キリト君」
アスナの低い声がした。この声は、なんか怒ってる時の声だ。
「危ないでしょ、キリト君!! 避けられたからよかったけど、わたし斬られちゃうところだったわよ!」
「ま、まあ避けれたからいいじゃないか……はは、悪かったって……って! し、しかしだな、そうやって怒りに任せて剣を振ってもロクなことにならないと俺は思うけど!!」
アスナの迅速の剣を避けながら抗議。
「……うわっ! やめろバカ!」
「『ごめんなさい』って謝ったら、許してあげる」
「謝るっつったって……うわっ! その剣止めてくれなきゃ……おぁっ!? ……ごめんなさい、ほんとごめんなさいぃ!!」
瞬間アスナは、得意気に「よろしい」と言い放ち、剣をピタリと止めた。
「おっかないなァ……」
呟くと、
「なにか言った?」
とアスナが微笑しながら言った。地獄耳だ。
「いいえ、なにも言ってないです」
この平和(じゃないかも)な日常が、永遠に続けばいいと思っていた。
これから起こる出来事を、俺やアスナは知る由もなく……。
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