第一部 剣技
第2話 剣の授業 (2)
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大抵の生徒は、授業中学園から剣を借りる。しかし勿論、自分で購入したものを使う事も可能だ。
俺は自分の黒い片手剣《エリュシデータ》──俺が固有名詞をつけたわけではない──を所持している。
対してアスナは戦闘時、《ランベントライト》なる綺麗な細剣を携える。これもまた、彼女が名付けた訳ではない──つけてたら面白いけど。
「男女ペアを組んで下さい」
《剣》担当の先生が言った。
いつもはアスナと組むのだが──自慢ではないが、彼女以外に互角で張り合える生徒はそういないので──今回はさっきの事があるし、アスナとは組めないだろう。
──じゃあ、誰と?
誰かに声を掛けてペアを組むなど、彼女以外にはあまり経験がない為、得意ではない。寧ろ苦手な部類に入る程だが、ひとまず誰かに声を掛けなければ何も始まらない。比較的友好関係を築けている相手を、適当に誘ってみる事にした。
「おい、クライ──」
──ンはもう相手を見つけている。
日常生活で仲の良い相手が少ないと、こういった非常時に困る。思わず頭を抱えそうになった、その時。
「……キリト君」
背後から、よく通る女性の声がした。
聞き間違えるはずもない(毎日怒鳴られているからだが)、アスナの声だ。俺は肩に掛けられた彼女の右手を取ると、振り返りざまに言った。
「……さっきは悪かった。言い過ぎた」
アスナは微笑みながら、ゆっくりと首を振った。
「ううん。わたしのほうこそ、叩いちゃってごめんなさい。……ほっぺた、大丈夫?」
アスナが上目遣いで俺を見た。不覚にもドキッとする。
「あ、ああ。平気平気。気にしなくていいよ、昼飯だって、後から幾らでも買えるしさ。そ、それより、俺と組まない?」
「ふふ……もちろんだよ」
アスナが優しく微笑んだ。
「ヒュー!」とか言ってるクラインをはじめとする男子達に抜刀しそうになったところで、再び先生の声が掛かった。
「桐ヶ谷くん、結城さん、?ソードスキル?のお手本を皆に見せてあげて下さい」
先生がやればいいんじゃ──なんて、思いは、心の中に
?ソードスキル?。残念ながらこの世界では、剣をただ当てるだけじゃあモンスターには苦戦する。黄色い電気鼠モンスターも倒すのは難しいかもしれない──見たことはないけど。言わば必殺技みたいなモノだ。
「先生、ソードスキルだったらなんでもいいんですか?」
アスナが尋ねる。先生の返事を聞くと、どうやらなんでもいいようだ。
「……?スラント?とかでいいかな」
「君のソードスキルは普通の人とはキレが違うと思うけど、それって単発の一番簡単なヤツでしょ? お手本見せるんだから、せめて?普通の人が頑張ったらできる?レベルのを見せようよ」
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