暁 〜小説投稿サイト〜
後宮からの逃走
第二幕その二
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
も苦しみも笑って過ごしましょう。怖れはしません」
「それもか」
「そうです」
 セリムに対して答える。
「私にとって恐ろしいのは私は操を失うことです」
「そなた自身の操をだな」
「そうです。ですから」
 また言うコンスタンツェであった。
「どうぞ私を御赦し下さい。その御心で」
「だが私もまた」
 今度はセリムの本心であった。
「そなたを」
「神の祝福が貴方にあらんことを」
「忘れよというのか」
「御赦し下さい」
 コンスタンツェはまた赦しを願った。
「若しそうでなければ喜んで何も言わずどの様な苦しみでも受けましょう。怒り吠え命じて下さい」
「それは私には」
「ですがどうしてもというのなら」
 コンスタンツェはあくまで己の決意を語り続けた。
「死が私を自由にしてくれるまで」
 最後にこう言うのであった。セリムは今はコンスタンツェに対してこう告げるだけであった。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ