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王道を走れば:幻想にて
幕間+コーデリア:召喚とは
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い包められたら木の棒ですら純金なみに高くなってしまうだろう。まぁ流石に、本当に木の枝を売りつける商人はいないだろうが。
 慧卓は外の階段を通じて倉庫の二階部分に運び込まれる品物を見ては、手元の書類と見比べて羽ペンでチェックを入れていき、ページの最下段にあった二振りの剣の項目にチェックを入れると、傍に立っていた兵士に問う。

「あの部屋は今ので最後か?」
「そのようです、ケイタク様」
「よし・・・書類よれば・・・あれだ、あの荷物を運んでくれ」
「了解です」
「うーし。あれを詰めれば今日は終わりだ」

 慧卓は三代目の馬車から運ばれる荷物を見ながら、一度倉庫の中へと様子を見に行く。元は貴族の館だっただけに倉庫内は中々の広さであるが、そのほとんどのスペースを運び込まれた品物が占領していた。特に多いのは壺や家具などの調度品、そしてその次が武器棚と武具の類である。武器は傍目から見て凡庸なものが多いのだが、中には珍しい作りのものがある。柄に煌びやかな装飾が施された剣は、明らかに祭式用のものではなかろうか。こんなものまでもが教会によって売買されるとはと、慧卓は呆れ混じりに嘆息した。
 その時、先程の兵士が困惑したような表情で慧卓に近付いて、耳打ちしてくる。

「失礼します、ケイタク様。あの、貴方を御呼びしておられる方がおりまして」
「えぇ?でも今職務中だから途中で抜けられないよ。あともう少しで終わるから待たせておいて」
「いやそれが・・・御呼びなのはコーデリア王女殿下なのです」

 ーーーなにやっているんだ、あの人は?

 告げられた事実に慧卓はおろか、ミルカも驚いたように目を開いた。宮廷から抜け出して、わざわざこんな薄暗い場所まで来た理由とは一体なんだろうか。

「ごめんミルカ。ちょっと抜けるからその間、指揮を頼むよ」
「王女様とあれば仕方ありませんが、成るべく早く戻ってきて下さいよ」
「分かった」

 慧卓はそう告げて倉庫から出て行く。馬車の荷台に寄り掛かるようにして、深くフードを被った小柄な人影が見えた。その人は指でフードを抓んで顔を見せ、自らが王女であると慧卓に知らせる。
 人目を気にしながら慧卓が小走りに彼女に近付くと、王女は言う。 

「ケイタク様。職務中に申し訳御座いません」
「いえいえ、今丁度一段落ついた所ですから。後は副官の方に任せていれば問題ありませんよ。・・・それで、日暮れ前に何故此処へ?」
「・・・話す前に、どこか人のいない場所に移りませんか?」
「ええ、いいですけど」

 二人は馬車から離れ、倉庫の裏手の方へと回る。兵士曰く、普段から此処には一通りが少ないため秘密の話には絶好の場所だ。慧卓が手を振って警備の者を倉庫内へと退けると、コーデリアは漸く己のフードを取り、陶磁器の如く透き通っ
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