彼女の事情
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。その時の蘭の粘り強さには何か母性を感じた。
そしてその子を小学校まで案内して(蘭、女の子、あたしの順)ようやくあたし達が中学校に到着した頃には……
「ま、遅刻よね」
蘭がうんざりしたように呟く。
えっと、あたしが悪いのかな?でも雰囲気的にそうだから謝っておこう。
「ごめんね、蘭」
「別にいいけど、ほら職員室に案内するから」
安土山蘭、あたしが最初に会った同級生はどこまでも優しい人でした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
市立繰賀中学校
それがあたしの転校してきた学校の名前だった。繰賀っていうのはこの町の名前。
新校舎と旧校舎(木造)と体育館にプールのある中々大きな(想像していたより)学校だった。
「え?桜先生いないんですか?」
今は職員室で蘭が入り口付近のデスクに座っていた先生に事情を説明していた。そこで判明した事は、あたしと蘭は同じクラスであるということと担任の先生がもうクラスに向かっているということだった。
「やった、蘭と同じクラスだ!」
「そうねークラスメイトが増えたーやったーわーい」
物凄く不服そうな顔で棒読みする理由は、なんだろう?
元々クラスが一学年二クラスなので確率的には二分の一だったんだけどね。
「あ、でもそのクラスには同じ名前の男子生徒がいるんだよね?どんな人だろう?」
「いつも原稿と睨めっこしてるただの根暗」
なんかさっきと言ってること違う………そしてすごくテンション低い、出会ったばかりが嘘のよう。
「ほらここ」
辿り着いた教室の前で蘭が立ち止まる、そして中からタイミングよく
「そっか、女の子かぁ」
中から調子よさそうな声がした。やっぱ転校生って期待されるのかな?ま、興味を持たれず、ボッチになることを考えるといいことなんだけど緊張する。
「クラスの連中は全然遠慮とかしないから、しっかりしなさい」
蘭……やっぱり優しい……
「お、来たみたいだな、よし入れ」
ドアの向こうから成人男性の声がした、きっと担任の先生だろう。
蘭がドアを開けて中に入る。続いてあたしも。
「ん?何で安土山までいるんだ?」
教室に入ると約三十人が一斉にあたし……じゃなくて蘭を見た。
「はい、これが家の敷地内に居たので仕方なく案内してきたんです」
と言いながらあたしを指差した。
うぅごめんなさいぃ 方向音痴で……
すると担任の先生(凄くマッチョだ、体育教師かな?)は不思議そうな顔をした。
「時間になっても来ないから何の演出かと思っていたんだが……迷子だったのか」
ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ
演出?どういう発想なの?それってよくあるこ
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