彼女の事情
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たし達とその子しかいない。
だったら仕方ないよね。
「どうしたのかな?お姉さんに話してくれる?」
あたしはその子をみて三秒後には話しかけていた。
そんなあたしに安土山さんは軽くあたしの肩を叩いた。
「一美、遅刻するよ」
……どうやらあたしは彼女に対するイメージを改めなければならないみたいだ、小学生の子(見た感じ低学年)が泣いているのに「遅刻するから」と見てみぬふりをするなんて……
「安土山さんは先に行ってください、この子はあたしが面倒見るんで」
そう言うと彼女は笑い出した。さっきとは違う嘲笑というのかな、明らかにあたしを見下した笑い方だ。
「何言ってるの?貴方はこの町の地理に疎いでしょう?」
それは、もっともだけど、それでも見捨てる気なんて無い、だってあたしにも………助けてくれた人がいるから。
「でも安土山さん、一人より「三人ね」ふた………え?」
喋ってる途中に言われたのでよく聞き取れなかった。
「都会から来たって言ってるからてっきり現代人っぽい無関心な人かと思ったけど……お人好しなのね、あぁ見誤ったな、まさかこんな面倒臭い人だったなんて」
さっきまでとは打って変わって平坦な口調になった安土山さんが捲くし立てた。あれ、もしかしてこっちが素?
「あの安土山さん?」
混乱したあたしは意味も無く名前を言う。そんなあたしをキッと睨みつけ
「その子はあたしが面倒見るわ、遅刻になるけど同級生の子が……学校に行こうとして山に入っていくような方向音痴の人が道も分からない土地で小学生を連れまわして、もし危険な目にあわせたり、怪我でもさせたら夢見が悪いから、あと…蘭でいい」
完璧な優等生発言でした。
そしてあたしのプライドはズタズタにされました。
なんだろう?さっき安土山さん…いや蘭が遅刻すると言ったのもあたしが相手しても遅刻するだけで解決しないと思っての言葉だったのかもしれない。
つまり
「ありがとうございます、蘭!」
なんて真面目で頭のいい人なのかな、さっき心の中で少しでも軽蔑して本当にごめんなさい!!
「はいはい、急ぐわよ、あと敬語もやめなさい」
そう言うと蘭は泣き止みあたし達を不思議そうに見ていた女の子に話しかけた。
その女の子は拙い口調で説明を始めた。
どうやらその子はいつも兄と一緒に集団登校の集合場所まで行っていたらしいけど、今日は兄が風邪で休んでいて一人で集合場所に向かったんだけどいつも兄の後ろを付いて行っただけなので迷ってしまいようやく着いた頃には他の人たちは出発してしまっていた。
一人で学校へ行った事が無いその子は困り果てて泣いていた、という訳。
ちなみにこれだけの話を聞きだすのに十分掛かかったの
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