崑崙の章
第9話 「おじちゃん、だいじょぶ?」
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いった。
まったく揺れなどないような状況であるのに、毎日毎日げーげーげーげー……
盾二が降りて歩けといっても、頑なに降りようとせん。
結局、?陵近くの渓流のところで降りたのだが、それまでの日々はつらかったぞ。
おかげでその匂いを誤魔化す為に酒を飲んで、わしまで吐いてしまったわ。
……いや、それは関係ない、かの?
ともあれ、ようやくわしの領地である巴郡に戻ってこられた。
さて、今日は祝い酒と行くかのう。
まさか三千万銭もの大金をいただけるとは思わなんだ。
通常の援軍での報奨金は、精々三百〜五百万、数万という大部隊での援軍であれば一千万以上というもの。
それがたった三千の兵で三千万もの大金を褒賞としてだしたのだ。
劉表殿の気前のいいことよ。
それを盾二は「これは桔梗の命を危うくした迷惑料だよ。口止め料も入っているし、安いぐらいじゃないか?」とか言いおる。
まったく、あやつは頭は良いようじゃが、口賢しいところがあるのぅ。
そもそも『口止め』とはどういう意味じゃろうな?
まあ、これらは命を散らした兵への慰労金としてその家族へ分配する予定じゃ。
とはいえ、大量すぎるでの。
通常ならば見舞金などでないのだから、扱いは慎重にせねばならぬ。
兵を失うごとにこんな金を兵の家族に渡していたら、太守などやっていけんわい。
一月分の俸給である穀物支給は八升(約三kg)じゃから、糧食を仕入れて配分するか、それに見合った金を特別褒賞として家族へ渡すぐらいじゃの。
減った兵を新たに募兵せねばならぬし、失った武防具も揃えなければならぬ。
ほんに兵というのは金食い虫よ。
だが、野盗や江賊、街を守る為にはやむをえん。
それにまだ黄巾の残党も蠢動しておるしのう。
そういえば、わしの兵を殺した黄巾ども。
噂では北の漢中方面へ向かったようじゃが大丈夫なのじゃろうか?
確か、盾二の主である劉備が治める地であったな。
梁州が設置され、その刺史となったとはいえ、いまだ一月足らず。
元々、かの地を治めておった漢臣は洛陽へ引き上げたというし……劉備の才覚がモノをいうじゃろうな。
だが、盾二はそんな心配は微塵もしておらぬらしい。
「劉備の臣には優秀なのが揃っています。俺の臣もいます。まあ、なんとかなるでしょう」
そう言ってのほほんとしておる。
まったく、肝が太いというか……大したやつじゃよ。
もっとも、それが過信でなければよいのじゃがな……
とはいえ、我が領地とも隣接することじゃし、折を見てこちらからも使者を出すとするかの。
な、なにしろ……なにしろ。
み、みみみみみ、みら、未来の……
”旦那様”かもしれぬから
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