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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
崑崙の章
第9話 「おじちゃん、だいじょぶ?」
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だ。医”師”じゃねぇ」
「医術は、仁術、か……」
「まあ、それをわからないやつが多いのは確かだがな。だが、俺はあんたにその”仁”を見たんだ。そして託した。少しは自分を信じてくれよ」
「北郷……」

 華佗の布を握りしめる手に、ぽたっと雫が落ちた。

「そうだ……そうだ、な。俺が俺を信じなきゃ、人を助けることなど出来はしない……」
「ああ。そしてあんたはそれが出来る男だ。だから華佗。俺はあんたをこれからも信じる。一刀を……頼むぜ」
「……ああ、まかせろ!」

 船酔いだった青い顔。
 その顔に見る見る生気が漲っていく。
 華佗は、懐から鍼を取り出して立ち上がり、空の天頂にある太陽へ突き出した。

「俺は華佗だ! ゴットヴェイドォーの継承者にして、全ての病をこの世から無くすことを目指す者!」

 そしてその暑苦しい眼差しで、俺にニヤリと笑いかけた。

「俺に任せろ! 必ず助けてやる!」




  ―― 厳顔 side 巴郡 ――




 劉表殿から贈られた船を?陵へ係留した次の日。
 わしらはようやく巴郡へと辿り着いた。

 ?陵から我が巴郡の距離は、実に百里(五十km)程度。
 もし、あの大型船を使っていれば後三日はかかったかも知れぬ。
 実に……実に困ったものを譲り受ってしまったものじゃ。
 わしは人知れず溜息をつく。

 あの大型船を戴いたときには、それはもう嬉しかった。
 なにしろ儂の領地である巴郡は、長江に面した場所じゃ。
 船は一艘でも多くあったほうがいい。
 錦帆賊は壊滅したとはいえ、上流には未だ江賊がいる。
 水軍はあるものの、兵を乗せる戦舟など精々十にも満たない。

 だからこそあの船を旗艦にできると考えたのじゃが……甘かった。
 あの船は遅い、遅すぎる。
 あんな鈍重な船など、火矢でも喰らったらいい的じゃ。

 百人、二百人乗せることが出来たとしても、軽快な小舟で往復したほうがずっと早く済む。
 まったく……とんでもないものを渡されたものじゃ。
 とはいえ、劉表殿の善意ではあるからの……いまさらいりませぬとも言えぬ。
 仕方なくとはいえ、上流へと運んだのじゃが、苦労の連続じゃった。

 船自体が重くて遅く、風がなければ何人がかりで櫓を漕いでも上流に上れない。
 おまけに船底が川底に擦って浸水する始末じゃ。

 さすがのわしもこんな船は見たことがない。
 大きければいいというものではないのう。
 わしの胸と同じじゃな。
 いくら大きくとも、歳をとれば垂れ……ごほんっ!

 まあ、それはともかくとして。
 もう一つの問題は、わしを救ったあの若造のほうじゃ。
 確か……華佗とかいったの。
 あやつの船酔いには、ほとほとま
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