崑崙の章
第9話 「おじちゃん、だいじょぶ?」
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まで乗ることはないだろうに。
陸路でついてくる方法もあれば先に行くという選択もあるだろう。
そのくせ桔梗の治療代は受け取らないんだからな……変な奴だよ。
「……まさかとは思うが、まだ一刀のことで俺に気を使っているんじゃないだろうな?」
「………………」
「あのなぁ……だから言ったろ? それはもういいんだって。一刀のことは貂蝉に任せたんだ。いずれ目を覚ます。だから……」
「だが、俺はお前に約束した。必ず助けてやると」
そう言って、額の濡れた布を握りしめて起き上がる。
その顔には苦渋の表情があった。
「なのに、俺には何も出来なかった……俺はお前の信を裏切った。お前があれだけ俺を信じて託してくれたというのに……」
「華佗……」
「結局、人任せにして総本山に置き去りだ。どの面下げて、お前に会うことが出来ようか……そう考えていたのに、な。まさかあんなところで出会うとは……」
自嘲する様に笑う華佗。
その様子に、隣にいる璃々ちゃんが不安げな顔をして俺を見る。
ふう……
俺は璃々ちゃんの頭を撫でながら、華佗を見る。
「華佗……あんたの気持ちは嬉しいよ。だが、ここに璃々ちゃんがいなければ俺はお前を殴っているぜ?」
「!?」
「ふぇ?」
俺の言葉に華佗は顔をあげ、璃々ちゃんは自分の名前が呼ばれたことで俺を見る。
「俺はあんたに一刀を預けた。それはあんたならば、どんな手を使っても一刀を助けてくれる、そう思ったからだ。その手段として、あんたは貂蝉に一刀を預けた。それが一刀を目覚めさせる方法だと、あんた自身が信じたからだ」
「…………」
「そのあんたが、何故俺に負い目を持つ? あんたはあんたにできる最善の方法をとっただけだろう? 自らの手だけで全てを救う事”だけ”が、あんたの信じる五斗べ……いや、ゴットヴェイドーなのか?」
「!!」
「一刀は必ず助かる。それを俺が信じているのは、貂蝉が言ったから、という理由じゃない。”俺が仁ある医師だと認めたあんたが信じた解決策だから”こそ信じているんだ! そのあんたが何を迷うんだ!」
「俺が……迷う……」
「医師は患者やその家族に対して自分の不安を見せてはならない。これは俺に医療術を教えた医師の言葉だ。患者やその家族にとって、医師は唯一の縋る相手なんだ。医師は患者の命だけでなく、その家族の祈りの責任も背負う義務がある、とな。医師が自分の示す治療を信じられなかったら、それを頼りとする患者とその家族は何を信じろというんだ?」
「………………」
「だからこそ医師は知識と技術を求められる。強い責任感と、それを越える多大な責務を背負わされる。それでもなお人のために自らを尽くすからこそ、医術は仁術と呼ばれるんだ。それを成さない上っ面の医師などただの技術屋
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