崑崙の章
第9話 「おじちゃん、だいじょぶ?」
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かおのままでかたまっています。
「おかわは、みんながつかうだいじなばしょなんだから。おせんたくとかおりょうりとか、みんなおじちゃんのはいたものまみれになっちゃうよ?」
「うう……」
「おじちゃんは、ききょーさんのからだをなおした、おいしゃさんなんだから……みんなのこともかんがえなきゃだめとおもうよ?」
「……ハイ」
えへん。
璃々がおかーさんにいつも「他人に迷惑をかけてはダメよ」といわれているから、おじちゃんにおせっきょうをしてみました。
華佗のおじちゃんは、おこられたときの璃々みたいになっています。
やっぱり、だれでもおこられたらこうなるんだね。
璃々は、ひとつおりこうになりました!
「なっさけねぇ……」
ためいきのような声がうしろからきこえました。
あ、おにーちゃんだ!
―― 盾二 side ――
「なっさけねぇ……」
俺が呟くと、璃々ちゃんが振り向いた。
「あ、おにーちゃん!」
「璃々ちゃん、悪いね。華佗の世話させちゃって」
「うううん! みんなはたらいてるんだもん! 璃々もおてつだいするよ!」
「ははは……璃々ちゃんは偉いなぁ。それに比べて……」
「………………」
璃々ちゃんの頭を撫でつつ、華佗を見る。
その華佗は、苦虫を百匹ぐらい噛み潰したようなふてくされた顔でそっぽを向いた。
「華佗ぁ……俺言ったよな? 船苦手なら歩けって。どうせ歩くより遅い船なんだからって」
「…………」
「そりゃ、璃々ちゃんでさえ船酔いにならないぐらい穏やかな長江なのに、船酔いになっちまうのが恥ずかしいのはわかるけどさ……もう八日になるのに毎日げーげーやってるんだ。体質的に無理なんだって」
「む、無理だからと諦めたら、成長はない! やってやれないことなど、この世にはないんだ! どんなことにだって勇気をもって立ち向うことが、五斗米道の教義だ!」
「だからって、こんな小さな子にゲロの世話させて力説することじゃねぇなぁ」
「う……」
「はあ……そこで逡巡するってことは、自分で気付いているんだろ? いい歳なんだから自重してくれよ」
「俺はまだ若い!」
がばっと起きて反論するも……
「はうっ……」
ひゅ〜と風船が萎むように力が抜けてまた倒れこむ。
やれやれ……体調悪いのに力むからだ。
「大体、無理についてくる事はなかったんだぜ? 俺は西に向かう理由があるし、桔梗は巴郡に戻るからついでに同行しただけだ。紫苑は、しばらく桔梗の元で世話になるから一緒にいるんだけどな」
「お、俺だって理由はある。厳顔の経過観察も兼ねて、こっちの五斗米道の連絡員へ接触する為だったんだ。だから……」
そうはいうがな……無理に船
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