崑崙の章
第9話 「おじちゃん、だいじょぶ?」
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にもかかわらず、八日も経ってようやく巴郡近辺の?陵まで辿り着いた。
正直、この八日間で船の扱いが素人である俺が、多少なりとも船の扱いを覚えたほど、この船のトラブルは多かった。
なにしろ大型ゆえに、喫水が深い。
ここは海でなく川。大型の船舶は中央でないと座礁する危険もある。
なおかつ、上流には喫水ギリギリの場所もあり、船底を擦って浸水することもあった。
おまけに、現代の帆船のような縦帆やマストが何本もあるような船ではない。
一本マストの横帆でしかないのだ。
その為、スピードの遅いこと遅いこと!
どういう理由でこんな船を上流の巴郡に贈る気になったのか、意図がまったくわからん。
いじめか、不良在庫を押し付けられたんじゃないかと俺でも思ってしまう。
とはいえ……桔梗にとっては恩も義理もある大事な後ろ盾。
その相手から贈られた船を、無碍には出来ない。
結果、こうして苦心しながら桔梗の自領地であるここ、?陵まで運んできたのである。
「はあ……さてと」
俺は、息を整えて起き上がり周囲を見回した。
紫苑は近くの邑に、手伝ってくれた農民と一緒に牛や馬を返しに行った。
桔梗は船の水夫にあれこれと指示を出している。
おそらく近くの街である、?陵にこの船を係留するのだろう。
さすがにここから巴郡までこの船を持っていくのはきついしな。
……しょうがない。
俺は溜息を一つ吐いて、歩き出す
(俺が引き取りに行くしかないか……)
ゲロを吐いているお医者様を。
―― 璃々 side ――
「おじちゃん、だいじょぶ?」
「うう……すまないな。大分楽になったよ」
わたしは璃々。
いまは華佗おじちゃんがぐあいがわるいので、木陰でよこになってもらって、みずでひやしたぬのをしぼっています。
それをおじちゃんのあたまにのせると、おじちゃんはあおいかおで璃々に、おれいをいってくれました。
「まるでおかーさんが、お酒のんだあとみたい」
「うう……ゴットヴェイドーの継承者たる俺が、船ごときでこんな状態になるとは……一生の不覚だ」
そういって、華佗のおじちゃんがちょっとくさいいきをはきます。
さっきまでげーげーいいながら、かわらではいていました。
「むりしちゃだめだよ? そんなににがてなら、おふねにのらなくてもよかったのに」
「い、いや! ゴットヴェイドーの継承者たる俺が、船如きにいつまでも苦手でいるなどあってはならないんだ! だからこそこうして……」
「まいにちまいにち、おふねからきたないものはいたら、みんなこまっちゃうよ?」
「うっ……」
華佗のおじちゃんが、あおい
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