第三幕その五
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れでは」
「そのように」
四人も晴れやかな顔でその言葉に応える。そこには誠意のみがあった。
「以上で今宵の騒ぎは終わりとする。では行くがいい」
晴れやかな顔で港に向かう四人を見送りつつ宮殿の者達の自身を讃える声を聞くセリムであった。四人も感謝の言葉を忘れずそれは彼等の心そのものでもあった。このセリムの徳の話は今でも伝わっている。イスラムの高徳の太守として。言うまでもなくベルモンテ達四人が広く伝えた話である。それはモーツァルトの音楽を通じ遠く日本にまで届き今こうして書き残されることになった次第である。
後宮からの逃走 完
2008・12・7
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