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とある碧空の暴風族(ストームライダー)
幕間
Trick26_タチの悪い教師に捕まったんですよ
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意味があるのか説明してみろよ!?」

「限界を超えることに意味があるんじゃん。ほら、あいつ」

黄泉川が顔を向けたのは今も走っている小太りの男。
必死に走っているようには見えるが、速度は歩いているのと大差ない。

「まっさきにギブアップして手を挙げたのに、まだ走っている。
 もう無理だって諦めたらそこで終わる。

 自分でも気付かない力がまだあるかもしれないのに」

「・・・・」

「こいつも、もうだめだって思ってから一周走ったじゃん」

今度は佐天を見ながら。

「その一周した力って何なんだろうな?

 能力開発も同じことじゃん。自分で自分の限界を決めちまったらだめじゃんってこと」

「っ、屁理屈を言ってんじゃねえ!」

女は黄泉川に殴りかかってきたが、その拳を受け止めら足払いをして簡単に倒された。

「姐御!」 「だいじょうぶですか!?」「てめぇ、教師だからって容赦しねえぞ!!」

スキルアウトが黄泉川へと怒りを向ける。

「はぁ、講習は終了じゃん」

「逃げんのか!?」

女が黄泉川を睨みながら言う。

「時間なんだよ」

空を見上げる。太陽に雲がかかり始めていた。

「もうすぐ雨が降る、だから終わりじゃん。

 おい! 信乃終わりだぞ!」

グラウンドの反対側を走っていた信乃に黄泉川は終了を叫んで知らせる。

「了解しました。ほら、もう終わりだそうですよ。一緒に戻りましょう」

「ぶ、ぶぁ」

信乃は、自分以外で唯一走り続けていた小太りの男と一緒に戻ってきた。

「なにが限界に挑戦だよ! そこの風紀委員は余裕そうじゃねぇか!!」

「八つ当たりはよせ、ジュンタ。こいつがあたいらより走ってんの見てただろ」

「けど、姐御・・・ !そうだ、あいつが付けているリストバンド、あれに秘密が
 あるんだ。いくら風紀委員だからってあんなに余裕で走れるわけがねぇ!
 インチキしてんだろ!?」

「リストバンド? 使いたいなら貸しますよ、ほら」

信乃は左手のリストバンドを外して男に投げ渡した。

男は落ちてくるそれを胸のあたりで両手で受け取ったが

「うぇ?」

受け取るために合わせた両手の隙間をこじ開けて、そのまま地面へ落ちる。

 ドスン

リストバンドの、布が落ちた音ではなかった。

「重り!?」

リストバンドの内側には≪10Kg≫の文字がある。

「こいつは体力バカだからこれぐらいやらないと罰にならないと思ったじゃん。
 だから追加で“重り”(これ)を用意したのに」

「どうです? これをつけて走ってみませんか?」

「ジュンタ、あんたの負けだ。行くぞ」

リーダーの女は校舎へと歩き始めた
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