できごと。
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「それ」は閑静な住宅の並ぶ一本道でまるで待っていたかのように現れた。
人型の着物のような服を着た「それ」は頭のあるべき場所には四角形が、腕の部分は木に釘を打ち付けたような腕が、少し見える足は青く透けるような足が下駄を履いているようだ。……ちなみに僕はジーパンにパーカーだ。
なぜそんな観察が出来たかということについては簡単で、確認したそのときにはその場にへたりこんでしまったからだ。
「それ」は依然その場に立っていてこちらを見ている(目がない箱頭なので見ている気がするだけ)。本当になんなんだ?人間にはとてもじゃないが見えない。こんな動物がいるなんで聞いたこともない。まさか妖怪?宇宙人?などと多少パニックになりそこまで考えたところで
四角頭が開いて中の影のようなところから
「こんばんわ。僕。」
と話しかけられた。
「……こんばんわ。」少し考えて答えてしまった。
「お?始めてだなぁこんなまともに私と会話をしてくれた人間は。うんうん。まだ子供なのに度胸というかなんというか。兎にも角にも。嬉しいことだ。礼儀ただしくもあるようだしこのような私と会話できるだけの冷静さも持ち合わせているようだ。素晴らしい!誰も彼とも会話は一瞬、いや成立さえしてないか…悲しいことだ。私はただ話がしたいだけだというのに。まぁそんな贅沢なことを言ってもられないか。罰が当たってしまうかな?ふふ。もう死んだ身だというのにまだ罰が当たるのかな?滑稽なことだ!まぁいまのところは罰が当たったことはないと思うから大丈夫だろうかな?僕はどう思うかな?」
話というか独り言がメチャメチャ長かった…
なんだこいつは?少なくとも話は通じるようだ。襲ってくる感じもしない。他の人間にも話かけた?なぜ?
ん…?死んだ身…?
「おいおい僕に聞いているんだぜ?目を開けながら気絶してしまったのかな?それに値する外見は確かにしていると一応のところ自覚はしているが悲しいなぁ。うーん本当、どうしてこんな外見に。もう少しマシな姿にはしてくれなかったのかね。いや、だがしかし…」
「…あっ…あの!」
「お?エクセレント!素晴らしい!私に話かけてくれるなんて!あぁなんて幸せなんだ私は!おっと失敬失敬。失礼したね。続けたまえ。」
「…あなたはいったい何なんですか?死んだ身ということは幽霊なんでしょうか?僕以外の人にも話かけていたんですか?なぜなんですか…?」
「あぁ素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい!こうも聡い子供とは!さて…質問に答えてあげましょう。はい一つめ、私はどうやら君の言うとおり幽霊のようなのです。人間だったころのような思い出がありますから!しかし何処の誰かというのは分かりません…しかし男であり携帯電話がある時代に生まれ働いていたことはわかるのです!私は自分探し中なのです!ふふ。今時の若者のようです
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