第五十七話
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相手に時間はかかるかも知れないが、あの戦いはリーファの勝ちになることが明白だった。
そういう俺はと言うと、敵のサラマンダーが突撃を繰り返している為に近づけず、敵もこちらを近づけまいと警戒している為、思うように戦えていなかった。防戦一方どころか着実に追いつめられており、空中戦のキャリアが俺とサラマンダーの歴然たる差を開いていた。
「……だからって、やられっぱなしとはいかない」
敵のサラマンダーの戦い方はシンプルで、重装備で突撃槍を構えながら圧倒的な威力と質量で相手を攻撃する、という単純だからこそ強い戦術。
対するこちらは、敵を攪乱しながら動きを読み、相手の不意をついて一撃を入れる……と言いたいところだが、エアライドに慣れてない今はそれが難しい。
……それでも、そうするしかないのが悲しいところだが。
もはや何度目になったか解らないサラマンダーの突撃を、俺はギリギリまで引きつけてから更に上方に上昇し、急激なGに耐えながら足をサラマンダーの前に『置いて』おく。
サラマンダーは突撃をそう簡単に止めることは出来ず、そのままその勢いで俺の足に頭から突撃し、自分が出していたスピード分の威力の蹴りを喰らったような状態となる。
「……そこだ!」
金属のヘルメットに蹴りを入れたこっちも痛かったが、 相手は頭にその衝撃が響き渡っているだろうところに、俺はその場で一回転した後にかかと落としを叩き込んだ。
サラマンダーからしてみれば、頭を二回ハンマーで殴られたような衝撃が襲ったような状態で、たまらず突撃槍を取り落として自身も墜ちていく。
「次は……ッ!?」
サラマンダーを追撃する余裕も意味もないと判断した俺は、即座にレコンの支援に行こうと翼を展開し直したのだが、斜め下から突如として炎の渦が巻き起こって向かって来ていた。
そう、ここはいくら似ていようとSAOではなく、妖精と魔法の世界――ALOだということを再実感した。
炎の渦から何とか逃れようと急速に左旋回をすると、今すぐ移動しようとしていたのが功を労し、何とか炎の渦に直撃することは免れた。
だが完全に避けることは出来ず、その炎の渦は俺の左手を掠っただけで焼き、左手の補助コントローラーを焼き尽くした。
空中で飛行機がコントローラーを失ったら……答えは明白であり、先程のサラマンダーのように、ただ地上へと墜ちていくのみだ。
「うわああああっ……!」
この空中から地上へと重力に従って墜ちる際の浮遊感を感じながら、我ながら情けない悲鳴をあげていると、遠くからリーファの声が聞こえてきた。
聞こえにくいので悲鳴をストップすると、風切り音があるためにどうにも聞こえにくかったが、リーファの言っていることは何となく把握出来た。
――彼女は、
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