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自動人形
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 その瞬間、杖から莫大な光が生まれた。
 そして僕の脳裏に走馬灯のように物語が流れ込んでくる。
「嘘……そんな………ことって…」
 それは、あまりにも…悲しい物語だった。
 彼がこんな話を考えていたなんて…………それが…………



   現実であるとも知らずに



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 僕が始めて水瀬君と話した日が五月一日だった、その日、彼は突然小説を書き出してその次の日、翌日にはゴールデンウィークの後半を控えていた五月二日に僕は一体の人形と出会った。
 それがユウキだった。
 ユウキは巧みな話術で僕を人形屋敷に連れ込み………

 僕を人形にした。

 ユウキは意志を持った人形であり、そして人形遣いだった。
 それから僕はユウキに操られるだけの人形になった。意志はあるのに思い通りに体が動かせず、二日間、生き地獄にあった。
 五月五日にレントさんが現れた。本人からすればゴールデンウィークを利用して(別に働いている訳ではなく【大型連休には別荘に行く】というイメージがあっただけ)別荘に来た。その程度理由だったんだけど、それが僕の命を救った。

 なんたって彼女は現代で唯一の魔法使いだったのだ

 ユウキも人形屋敷が人気の無い廃墟で誰か持ち主がいたなんて知らなかった。
 そして僕はレントさんに助けられて、また人間に……は戻れなかった。
 いや違うな、僕は戻らなかったんだ。

 だって、僕が元に戻るにはユウキを壊さなきゃいけなかったから。

 二日間、たったの二日間、一緒に過ごした人形の為に僕は自分の人生を捨てた。
 何故ならユウキの人形でいる間、僕には体を操られる度に、彼女の感情と記憶が流れ込んできていたんだ。
 それは彼女が人形になってから蓄積されてきた四百年以上にも及ぶ物語。
 そしてユウキが元人間であったことも。
 結局僕はレントさんに反対されたけど、魔法で自分の意志で動ける自動人形(オートマタ)になった。
 人間の模型であり、成り損ないの姿、見たものはまるで画面の向こうのようで聞いたものはスピーカーから流れたようなもの、そして温度も分からない、そんな人形になってしまった。
 もちろん辛いし、不便だし、人間に戻りたいと思う事もあるけど後悔だけはしていない。
 そしてゴールデンウィーク最終日、五月六日に僕は人間として不自然に見えないように出来る事と出来ない事の検証でこの悪夢のゴールデンウィークを終えた(両親には大量に出た宿題の消化合宿という事で無理やり通した、かなり疑われたけど)。

 だけど悪夢はここからだった。
 五月七日、久々の登校日に僕は隣の席の水瀬君に話しかけられた。
 内容はこうだ。
『木崎、この前書いてた原稿、仕上がったんだけど読んでみ
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