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SeventhWrite
自動人形
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人が入れば現代チックな洋館になるという。摩訶不思議な建物である。
 何故そうなるかといえばそれはこの館の主人がなんたって……ねぇ。

「どうしたの?今日はもう貴方と会う予定は無いはずだったのだけれど」

 僕とユウキが屋敷に着くと妙齢の女性が出迎えてくれた。
 老いたものではない眩しいほどの銀髪に西洋よりの顔立ちをしていて上はタンクトップに下はハーフパンツという今まさにエクササイズでもしていました、という格好だ。
 汗一つかいていないけど。
「すいません今日はアイツの筋書きをまだ読みきってないんでちょっと場所借りていいですか?」
 この屋敷の主人、レント・エヴァンツさんに僕は頼んだ。
「いいよ、適当にくつろぎなさい」
 ずいぶんとあっさりだな、今回もまた何か厄介ごとを僕に押し付ける気かな?
 レントさんは初めて会った時に命を助けてもらってから、何かと僕に厄介な頼みごとをしてくる。
「はい、助かります」
 屋敷の中に入ると外から見た時よりずいぶんと広い、いつも思うけど全くどうなっているのやら?
 そして二分ほどするとレントさんがティーポットとカップをトレーに載せてきた。ちなみに僕の分ではなく、彼女が自分で飲む分だ。
 そしてカップにお茶を注いだその時

「来たわね」

 意味深なレントさんの言葉で僕は動きを止めた。
「……どういう意味ですか?」
 僕の質問に対してレントさんはニコニコと笑いながら玄関を指差す。

  バァァァァァァァァァァァァン

 その時屋敷の玄関が勢いよく開かれた。
 もちろんユウキの仕業ではない。

「こういうことよ」
 そこに立っていたのはこの町には無い高校の制服を着た青年だった。
「なんで?ここは無人のハズなのに…………」
 その青年は目を丸くして僕たちを見る。確かにこの屋敷の明かりは外には漏れないようになっているので人がいるとは思わなかったんだろう、変な噂もいっぱいあるし。
 明らかに不審者である、ここにいる全員。
 片方は町でお化け屋敷扱いの場所に普通に住んでいて、片方はいきなり屋敷に侵入しようとした青年。
「くそっ!」
 二秒ほど固まっていた青年は踵を返し、走り去って行った。
「ちょっと!!扉くらい、開けたら閉めなさいよ!」
 そんな場違いなレントさんの声で思考が回復した。
「な、なんだったんだ?今の人」
 それでも動揺を隠せず思った事を言う。
「気付かなかったの?今回の主人公じゃない」
 ……………………ゑ?
「あれが?……峰岸大樹?」
「そっか、本当に全然読んでないんだね?じゃあイメージをあなたの脳に直接送るね、もう読んでる時間なんてないし」
 呆れた顔でそう言ったレントさんは壁に掛けてあった杖を手に取った。

「Un Look」

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