00 夢
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とある世界。
とある一室。
不気味なくらいに真っ暗で埃まみれ。
その中は汚れ散らかっていた。
誰もいないと思うほどの静けさ。
だが、その中を良く見れば人の形をした何かが見える。
ピクリとも動かないソレは見た目に反して人間味を感じさせない。
しかし、ソレは何を感じたのか一瞬だけ体を震えさせた。
部屋は寒くはない。そこに虫がいた訳でもない。
それでもソレは震えたのだ。
刹那、真っ暗の部屋に光が差し込む。
そこにいるのは黒い髪の女性。
ソレとは違い、酷く人間のような感情を浮かべた顔をしている。
一歩、また一歩とソレに近づく女性。
女性との体格差は大人と子供。ソレの体は小さく汚い。
白い肌だったかも知れない腕は、埃を被って灰色に。
女性のように長い髪は薄汚れてクスンダ色に。
女性はソレの顔に近づき何かを告げる。
ソレはまた、ビクンと震えた。
「……さぃ。……んなさい。」
ソレの声は小さく聞き取り辛く。
女性は1つため息をついて部屋を後にした。
その顔は酷く人間のような顔を浮かべて――
―◆◇◆―
無力な私は夢を見る。
その夢は闇に飲まれ、その闇は私へとこびり付く。
私の生きている環境に大きく関わっているもの。
神秘的な力とそれを扱う方法、法則。
その力を自由に扱い応用することが出来る。
通称【 魔法 】
魔法を扱う人は【 魔法師 】と呼ばれている。
だが、私には魔法が使えない。
魔法を使うための核となる部分。別名【 リンカ―コア 】に異常があるとかなんとか。
そもそも私は人ではない。
人の形をしてはいる。人から生み出された。
しかし、産み出されてはいない。
私は母となる魔道士の実験にて生まれた人形なのだから。
人形には力はない。
だがら逆らう事は許されない。
人形には権利がない。
だから意見する事を許されない。
人形の役目は所持者に従い尽くす事。
だけど私の母は何も言わない。
初めの方は構って貰えていたけれど、今はもう……。
今見たいに一日一度、今日見た夢を聞かれるだけ。
私に力は無いけれど私の見る夢には価値がある……らしい。
でも、今日見た夢は母がなくなる夢。
それでも母は、「そう」と一言呟いて出て行ってしまった。
ただ、ドアの横に立ち止り私が用済みだと告げた。
まぁ、分かってはいたこと。
力のない人形に価値はない。
それでも、私をここまで育ててくれたのには感謝してもし足りない。
肉体的成長はあまり見られなかったけれど、過ごした時間は無駄ではなった。
私は捨てられる事に満足している。
寂しさがないと言えば嘘となるけれど
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