崑崙の章
第8話 「ともあれ、大儀であった!」
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畔 ――
静かな流れの大河に、夕陽が映し出されている。
季節は既に秋。
川縁には蜻蛉が舞い、キリギリスやコオロギといった秋の虫の鳴き声が周辺に静かに響き渡る。
その川縁の急遽作られた土台の上に、周囲の風景のそぐわない物体が置かれている。
それは……人の首。
この近辺を荒らしまわっていた、錦帆賊。
その残党、三百十四人全ての首が、横一列となってそこに晒されていた。
その並ぶ首の前に、一人の人影が夕陽に照らされて立ち尽くしている。
まるで、案山子のようにじっと動かず、ただそこに立つ人影。
夕陽に照らされ、俯くその表情は見えない。
ただ、その長い髪だけが、長江の水に冷やされた冷たい風にたなびいている。
それを遠くで見つめる男と女は、黙ってその姿を見つめ続けている。
その場にいる三人は何も言わず、ただその場を動かない。
そして、時が経ち……
夕陽が沈むと共に、二人はその場を後にする。
ただ一人をその場に残して。
夜の帳が落ちても、一人の首の前に立つ女性だけは……その場を動かなかった。
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