崑崙の章
第8話 「ともあれ、大儀であった!」
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「(ぼそぼそ)相手の立場を考えろ。ここで受け取らなければ礼を失する。受け取ることが義を果たすことと思うんだ」
「(ぼそぼそ)しかし……」
桔梗は俺の言葉にも逡巡する。
仕方ない……
「劉表様、厳顔に代わりましてお礼を申し上げます。ですが厳顔の立場上、今回は義を果たしたまでとの由」
「む……? しかしな」
「はい。ですから、それは厳顔の失った三千の兵、それぞれ個人への賠償ということでご寄贈ください。それならば厳顔も嫌とは言いますまい」
「こ、これ!?」
「ほほう。なるほどの……厳顔よ、ではそういうことじゃ。儂から三千の兵それぞれへ見舞いを出す。お主にはそれを監督することを頼みたい。頼まれてくれぬかの?」
「は、いや、その………………………………………………りょ、了解しました」
渋々了承する桔梗。
ちなみに劉表に頭を下げた際、ギロっと睨まれた。
なんでだよ。
「うむ。お主の監督することに対する迷惑料も含めておく。しかと受け取るようにの」
「……は。重ねてのご温情に感謝いたしまする」
「ああ、それと今回のようなことにならぬように、しっかりとした同盟の誓書も纏めようと思う。受けてくれるかの?」
「!! ま、真でございますか!?」
おお……これは何よりの報酬じゃありませんか?
質も代償もなしに、一太守でしかない桔梗と、荊州州牧である劉表との同盟なんて。
桔梗は太守ではあるが、今までどこにも属しているわけではなかったから、これで強力な後ろ盾が出来ることになる。
今度益州の州牧になった劉焉も、これで厳顔を無下に扱うことは出来なくなるだろう。
厳顔を通じて劉表とのパイプができることを意味しているからだ。
桔梗にとっては、どんな金銀よりも嬉しい報酬だろう。
「あ、ありがたくお受けさせていただきまする!」
「うむ。詳しい内容は文官同士で煮詰めさせるとしよう。さて……最後に、お主じゃな、天の御遣いよ」
げっ……
また御遣い扱いだよ。
「黄巾の折、劉備の陣営におったとの事じゃったな。ふむ……」
そう言って劉表がじろじろと俺を見てくる。
ううむ……昨日のうちに文官から報告受けたんだろうなぁ。
「今は旅の途中と言っておったな。劉備の下から離れたということか?」
「いえ、離れているというか……私は、見聞を広げる為に旅をしています。劉備共々、私は北の幽州にいた為に荊州や益州、その先のことをほとんど知りません。その為、自分の足で見て回りたかったのです」
まあ、嘘はいっていない。
その目的が全部という訳じゃないだけだ。
見聞を広げることは大事だけど、な。
「つまり、お主は細作ということかの?」
げ……
言うに事
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