崑崙の章
第8話 「ともあれ、大儀であった!」
[1/8]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
―― 盾二 side 白帝城 城内 ――
白帝城内にある王座の間。
そこは、重要な案件を決める為、本来は密室であり、警備の兵もそれを取り囲むようにして配置される。
しかし、清掃などの理由により扉は開け放たれ、格子の入った窓も全開にされ、外の空気を入れ替えることもないとはいえない。
――それが清掃であるならば、だが。
にも拘らず……今、俺は開け放たれ、外が見えるような王座の間で、荊州州牧である劉表の前に立っている。
そう……立っている、つまりは面会している。
ということは、本来外に聞かれてはまずいような状況ではあるのだ。
なにしろここは……繰り返すが王座の間なのである。
暗殺、間諜などのリスクが付きまとう場所なのだ。
では、その状況であるのに、何故こんなにもオープンにした状況で面会して話が始まろうというのか?
原因、がある。
そう……とっても大事な原因が。
それは――
「……すごい臭いじゃの」
劉表が入室してきて開口一番の言葉がそれだった。
そう……その理由は!
「お主等は一体、いつまで酒を飲んでおったのじゃ?」
「……記憶にございません」
俺が代表で答える。
そう、その匂いの元は……俺と黄忠さんと厳顔さん――もとい、紫苑と桔梗だった。
朝方から三人揃って二日酔い……ようやく起き上がれたのも面会時間の半刻(一時間)前。
しかも、何度も吐かれる状況に業を煮やした華佗の鍼治療によって、強引に復帰させられたというおまけ付き。
だが、二日酔いすら治す華佗の鍼でも、体から臭う酒臭さまでは消せないそうだ。
三人揃ってのダウン状態……華佗は、朝から呆れ顔。
璃々ちゃんの白い目なんてそうそう見られるようなもんじゃない。
ほんと……お酒って怖いわ。
正直、昨日のことを殆ど覚えていない。
確か、桔梗に無理やり迫られたような気がするぐらいしか……
「(ちらっ)」
「!?(かあああああああああっ!)」
俺が桔梗を見ると、とたんに顔を赤らめて目をそらす。
?
「(ちらっ)」
「……こほん(ぽっ)」
こちらは紫苑。
桔梗と同じで何故か顔が赤い。
まだ酒が残っているのだろうか?
二人とも酒には強そうなのに、朝方にはグロッキー状態だった。
なんだか「気絶しても吸い取られて逆に気絶できなかった」だの「飲んで落ちようとしても、口に含んだものまで吸い取られた」だのなんのことやら……?
挙句の果てには、ここに来るまでの間、二人にやたらと擦り寄られた。
もじもじしながらも腕を組んでくるわ、擦り寄ってこられるわで正直焦りまくった。
理由を聞いても
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ