暁 〜小説投稿サイト〜
【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
番外編 「お母さんの味は・・・」
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ていることへの嫉妬だろうか。
あの世界の悪意が固まったような味を顔色一つ変えずに飲み干すなど、もはや人間の所業とは思えない。セシリアはそのベルーナの味覚に底知れぬ畏怖を覚えた。
(この子、いったいどういう味覚をしているというの・・・!?)
この日、IS学園7不思議に『ベルーナの味覚』が登録されたとかされてないとか。
= =
ところで、その日の夜にセシリアはとても懐かしい夢を見た。
それは彼女がまだ母にあこがれていたころの話。父のカルロは時々手作りのお菓子を振る舞ってくれることがあり、セシリアはそのお菓子をそれなりに気に入っていた。数少ない、父を尊敬した記憶である。
「セラ、セシリア!今日はクッキーを焼いてみたんだが食べるかい?」
「ふん。お菓子くらい普通に市販のものを買いに行かせればいいものを・・・ま、まぁ食べてあげないこともなくてよ?」
「わぁ・・・!美味しそうですわ!チェルシー、紅茶の準備を!」
「かしこまりました、お嬢様」
何時も厳しい母もその時ばかりは共にお菓子を食べる、オルコット家の数少ない団欒の時間だった。
「そういえば、お母様はお菓子を作って下さらないの?」
それは何気ない一言だった。特別深い意味はなく、偶には父ではなく母が作るお菓子も食べてみたいとか、そんな考えの元口にした言葉だった。その何気ない一言に、母の目尻が吊り上った。
「セシリア、良くお聞きなさい!私はオルコット家の当主!そのような使用人がやるような些事にわざわざ手を付けることはしないのです!いいですか?決して料理やお菓子作りの類が出来ない訳ではなく、立場上そんなことをしては下の人間に示しがつかないからやらないだけなのですよ!?お分かりになったら二度とそんなことを口にしない事!!」
「は、はい!!」
「おいおいセラ、いくら君が料理オン・・・」
「お黙り!!悔しくなんてないんですからね!?」
「は、はい!!」
その日はそのまま母の機嫌が直らず、涙目になりながら部屋を後にしたのだった。
そして、部屋を出た所で目を覚ましたセシリアは、まだ覚醒しきれない頭の中であることに気付く。
幼い頃はなぜそこまで怒ったのか分からなかったが、あの母の物言いからは一つの推定事実が導き出されるのではないか。それならば母が激昂したのも頷けるのではないだろうか。
「ひょっとしてお母様って・・・料理を作らなかったのではなくて、下手だから作れなかった?」
そこまで考えたセシリアは、母の意外な弱点を知って思わず鬼の首を掴んだようにほくそ笑んだ。
・・・そしてその弱点を自分がきっちり継承していることに気付き、一転ひどくへこんだという。
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