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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第三一幕 「俺が狼に人生相談を頼むわけがない」
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「アラスカ条約は言ってしまえば批准した国以外は守る義務など無い。だが、もしも実際に条約の枠を超えることをする国があれば、その国はあっという間に国際社会全体の非難の対象になるだろう。・・・しかしね、それは守るべき国土と立場を持たないものには何の苦にもならない。核抑止がそうであったように、IS抑止もテロリストには通用しないんだ。では行きつく先は何か?“IS同士の殺し合い”だよ、一夏君」
「殺し、合い・・・」
「無論これは可能性の一つであって、絶対にそれが起こるとは限らない。でもね、アングラの世界では今日も世間様の知らない存在が動き回っているんだ。“人様には口が裂けても言えない事”をやっている連中がね」
どこか他人事のようで、しかし果てしないリアリティを纏った言葉が一夏に圧し掛かった。
それを見たクラースは少し鬱陶しげに頭を掻き、ふぅ、と溜息をついた。
「ちょっと話が逸れちゃったか。つまり俺が言いたいのはね、一夏君?IS関連者っていうのはそっちの世界と無関係ではいられないんだ。下手をすれば命を狙われる状況ってのもあり得る。俺も教師達もそれが起きないように尽力はしているけど絶対ではないからね」
「・・・」
「君は、それでも力を望むかい?」
「・・・はい」
「どうして?」
何故。何故俺は力を望むのか。男が守られるだけの存在であることを否定するため?違う。姉のような強い操縦者になるため?・・・それも違う気がする。やはり思い出すのは2年前の拉致事件。
俺は何も知らなかったし、知れなかった。何所で何が動き、どういう経緯で何が起きたのかを知ることさえできずに、事件は俺の手の届かないところで終わりを告げた。悔しかった。俺は事件に巻き込まれたのに、事件に関わることさえ許されなかった。まるで『お前には力がないから関係の無い話だ』と言われたような気がして、惨めだった。
俺の求める事。俺の力を求める訳は――
やがて考えのまとまった一夏は、意を決したようにクラースを正面から見据えた。
その言葉に迷いはなく、そのまなざしに曇りはない。
「理不尽な力から周りを守るには、やっぱり力が必要・・・だと思います。それに、前に千冬姉が言ってたんです。『力を持つ者には望む望まざるに関わらず責任が付きまとう』って。俺はその責任って奴から逃げられないと思うし、逃げたくもありません。さっきの話を聞いた後で『やっぱり聞かなかったことにして強くなるのを諦めます』なんて、俺は絶対に言いません!」
答えは、自分を取り巻くすべての出来事を否定しないという事。それは何も知らずに歩むより辛い道だろう。自分の所為で誰かが傷つき、血を流すかもしれない。或いは自分がそうなるかもしれない。
それでも、その出来事から逃げて目を逸らし続けたくはない。そうしてしまうと、本当
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