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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第三一幕 「俺が狼に人生相談を頼むわけがない」
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ギーが尽きたら絶対防御を張れない!!あと、確か命に関わるほどのダメージでない限り絶対防御は発動しないってユウが・・・」
「何だ、意外と予習復習できてるじゃないか。その通りだよ。他にも軍用のIS装備には操縦者へダメージを与えることを前提とした武器も存在する」

まるで本当の先生みたいだ、と思いながら一夏はクラースの言葉に聞き入った。こうして見直してみれば確かに絶対防御は安全とは言い難い。もしエネルギーの切れてしまった機体に不慮のダメージがあれば操縦者は大怪我をするだろうし、今回の件でも鈴やユウは命がけの戦いを強いられた。

「でもね、一夏君。実はもう一つの方・・・条約の方が問題なんだ」
「それって・・・どういう事ですか?」
「・・・これから喋ることは“そういう可能性もある”程度に考慮しておいてくれ」

訳が分からないまま一夏は頷いた。それを横目で確認したクラースさんは窓の外を眩しそうに見つめながら独り言のように呟く。

「IS委員会は私利私欲の溜まり場のような場所だ。各国が好き放題な事を言いながら自国の利権を摺合せ、互いに互いの責任を押し付け合い、豚のように利益を貪る。そんな連中は決まって自分の失態は隠したがる・・・例えばISコアやIS技術の盗難、流出とかね」
「・・・・・・」

それは、真っ直ぐな性格である一夏には納得も理解も出来ない内容だった。安全管理をする側が事実を隠ぺいする。自分たちの欲望のために他人を切り捨てようとする、紛うことなき“悪”行である。そんな人間がいると考えるだけでも一夏は気分が良くなかった。そんな反応を知ってか知らずか、話は淡々と進む。

「さてここで問題だ。その盗難、流出したISを運用するテロリストがいたとするよ?テロリストはあくまで集団であって国ではないから国際的な制裁は効かないし交渉も通じないことが殆ど、直接叩き潰す以外に無力化するのは難しいだろう。もし取り押さえるための戦闘を行った時・・・

――果たして彼らは、アラスカ条約を守るような律儀な事をしてくれるかな?」

「!!!!」

全身から冷や汗が吹き出し、喉が一気に干上がった。クラースが何を言わんとしているか、理解してしまった。
答えはNoだ。テロリストはルールなど守らずにISで人を殺せる。条約違反の武器も技術さえあれば開発できる。戦闘をしてはいけないというルールも彼等には意味の無いものだ。エネルギーが尽きたから見逃してくださいなんて、いちいち聞いてはくれないだろう。
こんな簡単なことを世間の人々の多くが気付いていないのか。ISの安全神話など最初から存在していなかったという事実を。いや、だからこそ国やメディアは安全だと言い張っているのかもしれない。今更危険でしたとは言えないから。言えば自分たちの立場がなくなるかもしれないから。

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