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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第三十幕 「織斑一夏の有意義な休息」
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強くなる。余裕があった筈の首元が急激に締まるのを感じながら、弾は心の底で一夏を罵った。―――嗚呼、我が親友よ。ちったぁ気付けよこっちの恋事情に。
= = =
五反田食堂。かつて一夏がバイトをしていたこともある個人経営の飲食店だ。
だが一夏は、その見覚えのあるはずの場所がまるで違うような錯覚を覚えた。その理由は―――
「最近はどうもドイツがきな臭い。ま、あそこは大戦中から何かと訳アリが多いですからそれ自体は今に始まったことではないんですけど・・・教え子がいるからどうも心配でしてね」
「そいつぁさぞ心配でしょう・・・で、さっきの話ですが・・・どうなんですかい?」
「ん・・・ああ、モサドの情報をリークしてる奴に聞いたんですが、どうもピリピリしてるらしいですね。ドイツとは前から微妙な関係なんであっちに呼応してって線もあるんですが・・・アラビア辺りでも裏の活動が活発化し始めてる。考えたくはないが、多分1、2年以内に“大波”が来るんじゃないかなぁ・・・日本にも届くほどの」
「大波、ですかい・・・無事に乗り切れればいいんですが」
「いやまったく」
食堂の大将である厳さんが見知らぬ外人さんとリアクションに困る会話をしていた。
2人の背中からは何というか、世知辛い世の中に遣る瀬無さを感じている中年と言った感じのオーラが噴出しており、食堂全体の空気が不景気の酒場みたいな感じになっている。有り体に言うと辛気臭い。そこで一夏ははて、と首をかしげる。厳さんと話をしている外人の男性に見覚えがあるような気がしたのだ。一夏の視線に気付いた男性はこちらを見る。
「・・・おや、君は織斑一夏君じゃないか?知り合いだと話は聞いていたが・・・奇遇だね」
「え・・・えっと、どこかでお会いしましたっけ?」
「・・・織斑君。自分の通う学校の警備責任者の顔くらいは覚えておくことをお勧めするよ」
わざとらしく肩をすくめて見せるその男の顔を必死に思い出そうと記憶の中を掘り起し、一夏はようやくその男の記憶を脳内で発見した。
「警備・・・ああっ!!たしか責任者のクラースさん、でしたっけ?」
「正解だ。まぁ学校の職員なんてそうそう覚えてるものではないか・・・」
その男はIS学園のパンフレットに写真付きで載っていた男、クラース・ウル・ダービシェスだった。
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