第二幕その二
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「これもあるわ。どんどん食べましょう」
「うん、お腹一杯ね」
「ええ」
二人は食べ続けます。食べるのに夢中で他のことをすっかり忘れてしまう程でした。
そう、すっかり。そのせいでチョコレートの戸口が開いてそこから黒い服と帽子を着た魔女が姿を現わすのにも気付いてはいなかったのです。
見れば如何にも怪しげな魔女です。高い鼻は曲がり、皺だらけの顔に血走った赤い目をしています。薄い唇には血の気はなく、そして醜く歪んでいます。
そんな不気味な魔女が姿を現わしてきました。そして二人を見ています。
それでも二人は気付きません。相変わらず食べ続けています。
「ケーキも色々あるね」
「チョコレートケーキも生クリームのケーキも」
二人は両方食べています。口の周りがチョコレートとクリームでべったりです。
「このジンジャーケーキだってね」
「とても美味しいね」
「うん、すっごく美味しい」
「甘くて生姜が利いてて」
「一度食べたら病みつきになるよ」
「そんなにいいのかい?」
魔女が二人に後ろから声をかけてきました。
「うん、とても」
「こんな美味しいケーキ作ったのは誰なんだろう」
「私だよ」
魔女は気味悪く笑いながらそれに答えました。
「えっ!?」
「私なんだよ、ヒッヒッヒッヒッヒ」
「うわっ!」
そしていきなりヘンゼルを捕まえました。
「兄さん!」
「御前、一体誰なんだ!」
「私!?私はねえ」
離れようともがくヘンゼルを捕らえながら言います。身体に似合わない凄い力です。
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