第十九章
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。佐久間は最初、飯島、お前を信用しきっていた。お前を保険金の受取人にするほどな。お前なら、その保険金を愛子が成人するまで上手く管理してくれると思ったからだ。今、愛子に金を残せば、章子が潤うだけだ。どうしても章子には渡したくなかった。」
その声は何故か弾んでいる。息使いも荒い。漸く主導権を握れた喜びで有頂天になっているようだ。飯島は、センターの食堂で、佐藤に白髪を抜かれたことを思い出した。
「つまり、お前がDNA鑑定でイカサマをやったのは、その保険金を自分のものにするためだった。愛子が俺の子供となれば、保険金は中に浮く。しかし、鑑定書を偽造するなら、何も、本物の俺の毛を使う必要はなかったはずだ。」
「ああ、そうだ。俺のでもよかった。しかし、もしかしたら佐久間の言うとおりかもしれないとも思ったのさ。もし、そうだったら鑑定書を偽造する手間を省ける。」
「なるほど、そして復讐を遂げるために佐久間はお前の助けが必要だった。そしてお前は、保険金の受け取り人になったというわけか。」
「まあ、当たらずとも遠からずってとこだ。佐久間の保険金は3億だ。これを手に入れるのにだいぶ頭を絞ったよ。最初にやったことは、佐久間にお前と章子がホテルに入るとことを見せてやることだった。」
飯島が唸った。
「ふざけやがって…」
「まったく、お前には悪いことしちまった。佐久間の最初の計画は、香織を強姦することと、そして石倉を捕らえて締め上げる程度のことだった。殺す予定はなかったんだ。だけど、お前と章子がホテルに入るのを見た途端、佐久間は、本格的に狂っちまった。」
「なんて奴だ、なんて卑劣な人間なんだ、貴様と言う奴は。」
「はっはっは、許せ、許せ、飯島、全ては金のためだ。お前の奥さんには気の毒したと思っているよ、俺もな、途中から、生贄に選ばれちまったんだから。でも、お前の奥さんを襲うのを手伝ったが、佐久間は、まだ俺を受取人にすることを渋っていた。」
飯島が怒鳴った。
「ふざけやがって、この野郎。許さんぞ、絶対に許さんからな。」
竹内はにやにや笑いながら言った。
「飯島、そう興奮するな。お前の悪い癖だ。話はまだ途中だ。DNA鑑定の結果を見て、佐久間はさらに本格的に狂っちまった。殺してやる、みんなして俺をコケにしやがって。みんな、ぶっ殺してやるって叫んでいたっけ。おかげで、狙った通り、佐久間は自分に掛けていた保険金を俺に差し出す気になった。」
そう言うと、満足げに頷きながら、佐久間を見た。佐久間の目は、屈辱と憎悪で赤く濁っていた。その目で竹内を睨んでいる。竹内はゆとりで応えた。
「そうそう、佐久間さんよ、あの鑑定書は偽物だ。実は、愛子はあんたの本当の子供だったわけ。はっはっはっは」
突然、佐久間が奇声を発して、竹内に飛び掛かった。銃弾は3発発射され、佐久間の胸のあたり
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