第九十話
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好戦的な凛を諌めようとする士郎だが、ここは凛が正しい。
彼女は正確に自分の立場を確認し、どうするのかを此方に委ねたのだ。
出来ればここで戦いたくないのだろうが、それは弱みであり、付け込まれる要素だ。
「いいわ。今日は見逃してあげる。チャンピオンも消耗しているしね」
「はっ、よく言うわよ。彼ならば後10戦しても消耗とは無縁でしょうに」
と言い返す凛だが、実際は10戦は出来ない。カートリッジに限りがあるからだ。
凛も無限では無いと思っているだろうが、その可能性を捨てきれないのだろう。
「帰りは送らないわ。せいぜい歩いて帰るのね」
「ええ、ええ。送ってもらわなくても結構よ。行きましょうセイバー、衛宮くん」
「あ、ああ…」
「はっはい…」
有無を言わせない遠坂の一喝で正面玄関から去っていく3人を見送った後、俺達は結局途方に暮れる。
「そう言えば、お城は破壊されたままだったわ…さすがにこれほどの破壊を元に戻すのは不可能だし…」
と言ったイリヤは何の気なしに俺に聞く。
「ねぇ、チャンピオンの魔術で直らないかしら?わたしは暖炉の無い部屋で寝る事はイヤよ」
イヤよと言われても…
「出来なくは無いよ」
「それじゃあ…」
「とは言え、大量の魔力を消費する。これほどの物だ、カートリッジの一本は覚悟してくれ」
「うっ…残りは何本なの?」
「21本だ」
何だかんだで20本以上はすでに使っているのだ。無駄遣いは…
「ならまだ大丈夫ね」
無駄遣いはしたく無いが…マスターの命令なら仕方ない。
カートリッジをロードしてクロックマスターを行使。城の破壊前まで時間を戻した。
「わ、一瞬で元通り。どうやったの?」
「時間を戻しただけだ」
「さらっと言ってのけるけど、それを触媒も陣も使わずに出来るあたりチャンピオンは異常よね。まぁ今日は寝室が元に戻ったのだから気にしない事にするわ」
と言うと、奥から現れたリズとセラを連れてイリヤは寝室へと戻った。
今日は本当に慌しい日だった。一日で二戦もするとは今まで無かったのではないか?
疲れたと俺は霊体化し、疲れを癒すのだった。
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