第九十話
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ムンクルス二人は凛と同様屋敷の奥に監禁している。助けに行っても良いが、俺とそいつの戦いは邪魔しないで貰おう」
自分の問いには答えられなかったが、今の答で凛の所在を知った士郎がセイバーに言う。
「セイバー…わるい、遠坂を助けに行ってもらえないか?」
「なっ?シロウ、あなたは一人でアーチャーと戦うつもりですかっ」
「ああ。あいつは俺が倒す。セイバーは手を出さないでくれ」
「くっ…しかしっ!」
「セイバーのマスターは今は遠坂だろう。マスターの命を優先すべきだ。俺は大丈夫だから。あいつを倒し、後から行くから先に行っててくれ」
「くっ…ご武運を」
と言うとサーヴァントの役割を果たすべくアーチャーの横を素通りし、凛の救出へと向かう。
「君達はどうするのだね?私としてはセイバーに付いて行ってもらいたいのだが」
邪魔をするなとアーチャーは言っているのだろう。
「そうね、邪魔にならないように見ているわ。あなたの正体はなんとなく分かるもの」
「…そうか。…すまないな、イリヤ」
「いいえ、弟の面倒を見るのはいつも姉の役目だもの。仕方ないわ」
「はは…そうか」
アーチャーは何が嬉しいのか笑って見せた後、獰猛な視線を士郎に送った。
俺は邪魔になら無いようにとイリヤを抱えて二階へと移動し、見下ろす形で観戦する。
戦いは無骨な剣と剣のぶつかり合いだ。
英霊エミヤ。それがアーチャーの真名。
衛宮士郎の未来の可能性。
自分をすり減らすまでに狂信的に人々を救った彼の最後の願い。
その全てを否定して、自分による自分の殺害。それによる抑止力からの脱却だ。
しかし、それはいかなる事をしてもこの世界の法則で生きている彼らには抜け出せない。
一度迎え入れられたその魂は二度と開放される事はないのだから。
だからソレはただの八つ当たりにも等しく、彼の癇癪を士郎は自分のことのように感じ、しかしそれでも否定する。
最後は士郎の我がアーチャーを圧倒し、彼の剣に刺し貫かれてアーチャーは消えていった。
過去の自分から、自身の回答を貰って。
コツコツと音を立てて凛がエントランスへと階段を下ってくる。その脇にはセイバーが従っていた。
「アーチャーは…」
呟いた凛に答えたのは士郎だ。
「行ったよ。…大丈夫だ。あいつはあいつなりの答えを得たようだったから」
「そう…」
互いに多くは語らない。だが、それでも十分だったのだろう。
凛はしばらく現状を受け止める事に時間を使うと、此方に向かって視線を上げた。
「確か、同盟はキャスターとアーチャーを倒すまでだったわね。…どうする?ここでもう一戦やる?」
「なっ…遠坂っ!」
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