第九十話
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奪ったと言う割には話が出来るのは此処が彼の心情世界だからだろうか。
「ええ。ギルガメッシュを倒した今、チャンピオンが倒せないサーヴァントは居ないわ」
「ああ。そうだな」
「だけど…ねぇ、あれを見せたのはあなた?」
あの映画を。
「いや、私ではない。が、驚いている。このままではイリヤは…」
「ええ、災厄をばら撒く器になってしまうわね」
「………」
わたしが軽口のように言うとヘラクレスは黙ってしまった。
「どうして彼がこんな物を作っている記憶があるのか、それはわたしにも分からない。だけど、この世界がそうとは限らないわ」
平行世界の運営と言う魔法で考えれば、あの映画が二本作られたように、そうでない結果の世界も有るのだから。
「続けるのか、聖杯戦争を」
「ええ、まだどうなるか分からないし、それがわたしの…ううん、アインツベルンの女の役目だもの」
お母様だってその運命に準じた。汚染されていると言う証拠がまだ無い以上私達は止められない。
そう言えば、とわたしは気になった事をヘラクレスに聞いてみる。
「あなたがわたしの召喚に応じてくれたのは何故?サーヴァントは少なからず聖杯に叶えて欲しい願望があるもの。…チャンピオンは事故みたいなものだから自分の望みは無いって言っていたけれど、あなたは?」
「わたしの目的はイリヤを守る事だ。君が聖杯戦争を生き残り、幸せになってくれればそれ以上の望みは持ち合わせていない」
「ふーん」
「それもおそらく叶う。チャンピオンがうまくやるだろう。私の望みは叶った…」
と囁くとヘラクレスは霞となって消え、この高原の風景も消え去った。
そろそろ起きる時間だ。
…起きた私はいつもどおりに出来るだろうか。
それほどまでに今日得た情報はわたしを動揺させる。
でも、きっと大丈夫。
むんっと力を入れると意識が覚醒し始めた。
◇
さて、キャスターの討伐が終わったと言うのに、アーチャーの暴挙により俺達は教会を出てUターン。直ぐにアインツベルンの居城へと戻る事になった。
ロールスロイスを走らせ、破壊されたアインツベルンの城へと戻るとエントランスの上から赤い外套を翻しながら降りてくる赤い弓兵の姿があった。
「おいっ、遠坂は無事なのだろうなっ!」
いきなりケンカ腰に士郎がアーチャーを問い詰める。
「奥に転がして有る。まったく、一人で来ると言う機転を利かせて欲しい物だ。セイバーにチャンピオンまでも引き連れてくるとは…いや、ここは彼女達の居城なのだから当然と言えば当然だが」
「リズとセラはどうしたの?」
士郎の問いをはぐらかしたアーチャーにイリヤがさらに問い詰める。
「ふむ…あのホ
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