第九十話
[7/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
囮に逃げる。
これはわたしも記憶しているが、アーチャーを倒し、追い詰めたはずのセイバーに逆にバーサーカーは倒されてしまった。
それでわたしの聖杯戦争は終わり。
後は聖杯の器としての役割だけ。
結局最後は攫われたわたしは小聖杯として起動し、辺りに厄災を振りまいた。
そう、厄災だ。
聖杯が汚れている?
この世全ての悪と言われるアンリ・マユの影響を受けてそれは汚染されていて、聖杯はすでに辺りを呪うだけのものに成っていた。
それをどうにかする為に現れるシロウとセイバーを待ち構えるのは監督役の神父と金色のサーヴァント…ギルガメッシュ。
この二人を打倒し、小聖杯として起動するわたしをシロウが助け出した後、セイバーが聖杯によって現れた災厄を振りまく孔をエクスカリバーで破壊して聖杯戦争は終了した。
これが聖杯戦争の結末。
いや、一つの顛末だった。
もう一つ、彼らは物語を作り始める。
主人公は変わらないし、その、聖杯を破壊すると言う結末は変わらない。しかしその過程が違うIFの物語だ。
その物語でのわたしはもっと酷かった。
アインツベルンの城を襲いに来たギルガメッシュにより目を潰され、その後に聖杯であるわたしの心臓を抜き取られて絶命してしまった。
最強を誇るバーサーカーはギルガメッシュの宝具の前になす術も無く12の命を奪い尽くされた。
その結末にわたしはぞっとする。
あんな結末は嫌だ…わたしは生きていたい。
たとえそれほど長く生きられなかったとしても、それでもわたしは生きたい。
映像を見終わったわたしは、いつの間にか高い山々の頂に居た。
そこには彼の姿は無く私以外誰も居ない。
いや、わたしの後ろに一人大柄の男が控えていた。
この山は彼の原風景なのだろう。
風が吹く。
その風に誘われるようにわたしは後ろを振り返った。
「ヘラクレスね。…本来わたしが召喚するはずだったギリシャの大英雄」
バーサーカーのクラスで召喚された彼は本来なら言葉を交わすほどの知能など持ち合わせては居ないだろう。
しかし、今の彼は穏やかな表情を浮かべている。
「ああ」
「あなたがあのチャンピオンをわたしに遣わせたの?」
「呼ばれた時に偶然彼らが通りかかったのだ。通りかかった彼らを私が強引に掴み、サーヴァントの殻に押し留めた。結局バーサーカーと言うクラスには押し留められぬ存在であったがゆえ狂化は免れたようだが」
「でもそれもおかしいわ。だってチャンピオンはクラススキルを全て持って現れた。であるならば、狂化も持ち合わせてなければおかしい」
「それは私が引き受ける事で彼から奪った。狂化などせずとも彼らは強いだろう」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ