第九十話
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わ。セイバーも特別に乗せていってあげる。ただし、道中の戦闘は禁止よ」
「はい。心得ています」
と言ったセイバーは先ずは信頼を示さなければと武装を解いた。
それを見て俺も警戒レベルを下げソラの影分身を解いた。
◇
夢を見ている。
またチャンピオンの夢だ。
アインツベルンの居城へと戻る道すがら、エンジン音すらしないシルヴァーセラフの乗り心地はは最高で、ついうとうとしてしまったのだ。
その夢で彼は自分の能力の全てを失って焦っていた。
魔術も忍術も使えないそこはおかしな法則が支配する剣の世界。…ううん、これはゲームの中だ。
ただ、何処までもリアルで、現代日本では起こりえないほどに人の命が簡単に消えていく悪魔のゲームだ。
彼はやはりそこでもめげずに戦い抜いていく。生き残ると言う思いが彼を動かしているのだろう。
彼は何処までも自分の身を守る為に動いている。力をつけようとしたのもその為だ。
弱ければ奪われる。そんな原初の常識を彼はその世界の誰よりも理解していたのだ。
戦って、戦って…この世界の彼…いや、彼に限らず、この世界に巻き込まれた人は戦う事が日常であり、戦わない者は搾取されていた。
この世界からの脱出を目指して何人がその命を失っただろう。
ある日、その世界の人々から活気が消えた。なにか大きな不安が人々へと浸透したのだろう。
彼は、その世界で出会った変わった人柄の人たちと、その空気を変えるために映画を作り始めた。
ぼうっと眺めていた私はハッとして目の前のそれを見る。
映画の内容は奇伝ファンタジー。
七人のマスターが七騎のサーヴァントを駆って戦い抜くバトルロワイヤル。
聖杯戦争。
物語の視点はシロウで、彼がセイバーを召喚し聖杯戦争に巻き込まれて行く。
あ、あれは…わたし?
現れた茶色の髪の少女だが、その衣装はわたしが身につけているものに似ていた。
彼女が使役するのは銀色の騎士…では無く、大柄の男だった。
ギリシャの大英雄、ヘラクレスだと、そのわたしの役の少女は言う。
ゲームシステムの派手な演出もあり、バーサーカーのクラスで呼び出されたヘラクレスは天下無双の怪力で暴れ周り、セイバーを追い込む。
しかし…セイバーを倒す寸前にシロウが庇いに入り、自分が大怪我を負った。
なに…それ。
と、わたしも、わたし役の彼女も呟く。
訳が分からないと言う感じで、止めをさせたのに振り返り、彼女は去っていった。
大怪我を負ったシロウはいつの間にか治ったらしい。
不死の呪いでも掛けてあるかのような治癒速度だった。
物語は進む。
わたしに誘拐されたシロウを助けにやってきたセイバー達はアーチャーを
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