第九十話
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血多量で死んでいるだけで、アーチャーはもちろんキャスターと凛の姿も無かった。
どうやらキャスターは討たれたらしい。
「なっ!?チャンピオンっ!」
セイバーが俺の姿を見て直ぐに士郎を庇うように剣を向けた。
「待て、セイバー。チャンピオンは俺達を助けてくれたんだ。今は敵じゃないよ」
それでも剣を下ろさないセイバーの選択は正しい。
確かにアーチャーの討伐と言う役割は果たしていないが、同盟はセイバーの救出、キャスターの討伐までだ。
その二つが達せられた以上、サーヴァントとマスターは聖杯戦争では倒すべき敵であろう。
一触即発と言う時、上からソラを伴って階段を下りてくるイリヤの姿があった。
「あら、凛は何処へ行ったのかしら?それとアーチャーも」
「な、サーヴァント…それにどこと無く意匠が似ている防具は…シロウ、あれもチャンピオンのサーヴァントなのですか?」
「あ、ああ。チャンピオンは分身できる能力を持っているようだ」
「なるほど。確かに分身する宝具をもつサーヴァントは以前にも居ました」
それだけ言うとセイバーは納得したようだが、さらに警戒レベルを上げた。
「それで、お兄ちゃん。アーチャーとリンは何処に居るのかしら?」
「アーチャーの奴は遠坂を攫ってアインツベルンの城へと逃げた。あいつはどうしても俺を殺したいようだった。遠坂は人質として連れて行かれただけだ」
「は?なんでアーチャーはそんな事を?」
イリヤの疑問に答えるように口を挟んだのはセイバーだ。
「わかりません。彼がなんであのような暴挙に出たのか…」
「いや、俺は何となく分かる。だから、これは俺がやらなければならない事だ」
「意味が分からないんだけど…いくらボロボロだとしてもわたしの城を勝手に使われていい気はしないわ」
士郎の自分だけが感じる何かは他者にはわからず、それとは関係なくイリヤが憤慨する。
イリヤはここでセイバーを仕留めると言う事はせずに、まずは自分の居城に立てこもる不届き者を成敗するべく振り返った。
「待ってくれ。城へ帰るなら俺達も連れて行ってくれ」
俺と彼らは敵同士だと言うのに、自分がやらなくてはと言う自己中心的な何かが彼を突き動かしているのだろう。
一時的には協力したとしても大局的には敵であるマスターにそのような事を言うとは…
イリヤは少し考えた後答えた。
「いいわ、シロウ。丁度乗ってきた車もあるし、シロウが来るって言うなら乗せていってあげる」
「イリヤスフィール、私も同乗させていただきたいのですが」
シロウは連れて行く、でもセイバーは連れて行くとは言っていない。これで当然のように同乗しようとしたらそれは常識を疑う。
「いい
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