第九十話
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弾した城壁に何やら奇妙な画像が空中に浮き上がり、何かを警告しているようにも見える。
「破壊不能?」
その文字が示すかのように現れた城壁はアーチャーの攻撃で微塵の揺るぎも無く無数の剣を跳ね返し続けている。
「と言うより…」
あの彼女を中心として、円を描く様に紅い荒野の剣の墓標のような世界が変貌し、石畳がしかれ、振り返れば大きな黒い城が見えている。
アーチャーの固有結界内を侵食するかのように彼女はそこに新しい世界を描き出している。
これはアーチャーの固有結界に自分の固有結界をぶつけて相殺させている?
二つの世界の境界線がはっきりと見て取れる。
「なっ!?まさか私の固有結界内で新しく現実を侵食していくだと…っ」
アーチャーもまさか固有結界内で新しい世界を創造されるとは思わなかったのだろう。動揺が窺える。
あー…、うん。その動揺は分かるよ…
自分の奥の手が同種の様な能力で封じられているんだものね…もう驚きを通り越してチャンピオンの理不尽さには呆れるわ。
矛と盾の矛盾の実戦ははてさてどちらに軍配が上がるのか。
今の所アーチャーの攻撃で城壁が破られる気配は無い。それどころか広がるチャンピオンの石畳がアーチャーの世界をじわじわと侵食していく。
「くっ…」
不利を悟ったアーチャーからくぐもった声が漏れたかと思うと、アーチャーは投影されている宝具を一斉に爆発させ、城壁の破壊を目論んだ。
閃光が辺りを包み、一瞬わたしはその視界を奪われる。
閃光が止むと、城壁は健在であったが、見渡す限りの紅い荒野の世界は消えていた。
「な、何?」
次いで石畳の世界も薄れて行き、夜の教会へと戻ると、いつの間にか男の姿に戻ったチャンピオンがわたしの側へと駆けつけてきていたようだ。
さて、それは良いのだけれど、アーチャーは何処に行ったのか。辺りを見渡したが彼の姿はなくなっていた。
「アーチャーは?」
と、わたしはチャンピオンに問いかける。
「教会の中だ。逃げられたな」
「なっ、逃げた?追いかけなさい、チャンピオン」
「…了解」
わたしの命令で男のチャンピオンは今わたしを抱きかかえている彼女に護衛を任せると教会へと駆けて行った。
先行した彼を見送るともう一人のチャンピオンにも命令する。
「わたし達も行くわよ」
「…わかった」
短く了解の声を上げた彼女に連れられてわたしも教会の中へと移動したのだった。
◇
中に入るのとアーチャーの気配が遠ざかっていくのは同時だった。
それでも現場で何があったのか確かめるべく教会の奥へと進めば、立ち尽くしている士郎とセイバーの姿があり、一人の成人男性が槍で貫かれでもしたのか出
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