第九十話
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まだ勝機が有ると思ったのか、黒塗りの洋弓を現し、矢を番えると、こちらを鋭く狙いを定めた。
『ロードカートリッジ』
減った分の魔力はカートリッジを二発ロードして賄うと準備は万全だ。
「行くぞ、チャンピオンっ」
アーチャーの宣言で戦いが始まる。
一射で幾条もの矢が撃ち出されたのでは無いかと思われるほどの速射技術で幾条もの矢が俺に向かって駆ける。
それも計算されたように打ち払っても回避しても俺を囲い込むような彼の射はまさにアーチャーの真髄と言う所だろう。
『ディフェンサー』
「くっ…」
避けるでも打ち払うでもなく、防御魔法で防がれた事で予定が狂ったのか、アーチャーの苦々しい呟きが聞こえた。
『アクセルシューター』
ガードした時にそのバリアを避けるように一度大きく外側へと誘導した後にアーチャーに6発のシューターが走る。
対魔力がCもあれば避けるまでも無い攻撃だが、アーチャーは対魔力が低いのか避けずに自分の矢を当てる事で相殺しようと撃ち出した。しかし、こちらは誘導弾。六個のうち四個は打ち落とされたが残りの二つがアーチャーを襲う。
「ちぃっ!」
ゴロリと転がってその二つを回避すると、更に二射打ち出してアクセルシューターを全て相殺し、更に二射を此方に放ちバリアでけん制させるとすぐさま駆け、射では対抗できないと悟ったのか、その手にはいつの間にか白と黒の夫婦剣が握られていた。
アーチャーは素早く俺の側面へと回り込むと、バリアの横から俺へと迫る。
「はっ!」
二本の剣が走る。それをソルで受けると甲高い剣戟の音が響き渡った。
キィンキィンと甲高い音を鳴らしてまるで剣舞のように打ち合う俺とアーチャー。
すでに幾つ彼の剣をその手から弾き飛ばしただろうか。その度に彼の手には虚空に新しい剣が現れ握られている。
投影魔術。武器の複製に特化した彼には魔力が続く限りその武装に上限は無いのだろう。
魔力によるブーストで筋力、耐久、敏捷のステータスにプラス補正が乗っている俺と、素のステータスのままのアーチャーとでは地力が違う。
アーチャーのクラスは基本的に宝具特化のサーヴァント特性を持つ者が多く、目の前の彼もその基本に漏れていない。
そもそもが剣を主体とするクラスではないのだから時間と共に俺が押し始めるのは自明の理だ。
だが、アーチャーは押されながら何かを歌うように呟いている。
剣と剣がぶつかる剣戟の音に阻まれて聞こえないが、彼の口はしっかりと何かを呟いていた。
「“―――unlimited blade works.”」
打ち合いから逃れるように距離を開けたアーチャーが呟いた最後の言葉。その言葉だけは耳に残り、その瞬間、世界が一変した
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