第九十話
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深夜、俺達はキャスターが居ると言う言峰教会へと足を進めた。
城からはかなりの距離が有る為に、駐車場は破壊から免れていて無事だったロールスロイス・シルヴァーセラフを俺が運転、イリヤを助手席に座らせ、二人を後部座席へと座らせると目的地へと車を走らせた。
後部座席の二人はこんな高級外車は乗りなれないのか縮こまっていたが、まぁ分からなくは無い。
丘の上にひっそりと建つ教会は、夜の闇を纏い、神々しさよりも今は禍々しく感じられる。
車は往来の広間で降り、教会へ皆が無駄だろうに無言で音を立てずに進む。
打ち合わせはすでに終わっていた。
後は実行するだけだ。
前方に俺達に対峙するように紅い英霊が現れる。アーチャーだ。
「まったく、あの魔女の嗜虐趣味も大概にしてもらいたい所だ。あれほど私がセイバーに令呪を使い、チャンピオンのマスターを3人で狙えと念を押したというのに、中でお楽しみに耽るとはな…確かに、あの高潔なセイバーを汚してやるのは余程嗜虐心をそそるのだろうよ」
と呆れるようなポーズをしてみせるアーチャー。
その言葉にまだセイバーが完全にキャスターに支配されていないと安堵する士郎と凛の二人。
彼らの計画ではセイバーが敵の手に完全に落ちていたらマズイのだ。
「セイバーはどこに居るっ」
士郎がアーチャーに詰め寄る。
「教会の中だ。助けに行くのだろう?行きたければ行けば良いさ」
「なっ!?」
「私は見てのとおり、怖い奴の相手をしなくてはいけない身でね。君達の作戦通りなのだろうが、よくもチャンピオンを連れてこれたものだよ」
と何処か感心している様でもあった。
「行きましょう、衛宮くん」
凛が先にアーチャーの横を通り過ぎる。その表情は伺え知れないが、何かに耐えているようだった。
「あ、ああ…」
どうして良いか戸惑っていた士郎も、今はセイバーが大事と横を抜ける。
「全く凛にも困った物だな。せっかくキャスターから逃がしてやったと言うのに自分から戻ってくるとは」
どこか眩しそうにアーチャーが呟く。
「さて、門番を仰せつかったのでな。幾ら勝ち目が無いとは言えここを通す訳には行かない。すまんが付き合ってもらうぞ」
「あきれた。アレだけ痛めつけられてまだチャンピオンとやるつもりなの?いいわ、チャンピオン。やっちゃいなさい」
とアーチャーの挑戦を受けるイリヤ。
命令されては逆らい辛い。
「了解した、マスター」
俺は前に出てバリアジャケットを展開し、ソルを握るとイリヤを遠ざけただけじゃ安心できないので影分身をして現れたソラにイリヤを任せた。
「複数に分裂するサーヴァントか…だがその分その存在は劣化するはず…と言う事は」
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