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駄目親父としっかり娘の珍道中
第29話 子を叱るのは親の務め、親を叱るのは子の義務
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だろう。
 フェイトにはそれを黙認する権利もあった。見捨てられた以上、もうプレシアは彼女にとって親ではない。全くの他人同然だ。
 この艦の中で銀時が彼女を殺す様を黙って見届ける事も出来る。
 だが、そんな事フェイトに出来る筈がなかった。例え今まで自分の事を良い様に利用してきただとしても。あんなに道具の様に切り捨てた女だとしても、フェイトにとってはたった一人の母なのだ。
 その母を見捨てる事など出来ない。
 となれば、答えは自ずと見えてきた。

「私、母さんを見殺しになんて、出来ない」
「そうかぃ、だったらどうするつもりだ?」
「私が、私が母さんを叱りに行く! 誰が何と言おうと。私が母さんを正して見せる」
「へっ、決まりだな。来いよ、お前も作戦会議に加われ」

 今まで銀時が掛けてはこなかった優しさが其処にあった。男ではない言葉だった。
 大きくて、優しくて、少し辛気臭いような、要するに父親の言葉だった。
 そうだ、この男は父親なのだ。今更ながらにフェイトは思い出した。
 彼女には母親の思い出はあっても父親の思い出はない。
 ほんのちょっぴり、父親が欲しいな。そう思うフェイトであったりした。

「う〜っす、待たせたなてめぇら。そんで、話の方は何処まで進んだ?」
「あ、旦那ぁ。今丁度話を纏めようとしてたところでさぁ」

 銀時とフェイトの目の前には殆どのメンバーが勢揃いし、会話を進めている場面であった。その中に二人も腰を降ろして加わる事となった。

「それで、内容は何? どうやって内部に入るかって事? それとも戦力分析?」
「違いまさぁ。おやつは300円にすべきか、それとも500円にすべきかって議題でさぁ」
「はあああああああああああ!?」

 いきなりフェイトは絶叫した。信じ難い話だったからだ。作戦会議とか聞いたから何かと思えば持参するおやつの予算を決めていたそうなのだ。

「因みに俺は500円派ですがねぃ。こちらの執務官さんと土方さんが300円って五月蝿くて中々決まらない所なんでさぁよ」
「あんだよぉ。お前家の執務官さん垂らし込んで頭数に加えるなんざセコイ真似してんじゃねぇよ。おやつは500円で決まりだろうが。察しろやこのボケェ」
「ふざけんじゃねぇ。古今東西おやつってのは代々300円って相場が決まってるんだ。そのお陰でこうして遠足や社会化見学の際に無事故で帰れると言う暗示が掛けられてるんだよ。それを無視して何が500円だ。冗談じゃねぇ。俺は絶対300円ってのは曲げねぇからな!」
「縁起とか暗示とか、何そんな迷信じみたこと信じてるのぉ? 馬鹿なの、お前馬鹿なのか? そんなの一昔前のどっかの馬鹿が《これこう言う風に言いふらしたら流行るんじゃね?》っ的なノリで作ったのに違いねぇんだよ。そんなのに騙さ
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