第29話 子を叱るのは親の務め、親を叱るのは子の義務
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もりだ? なのはに甘えて、クソババアに甘えて、今度は俺に甘えるのか?」
「そ、それは……」
「躓いたんなら、いっその事前のめりに倒れちまえ。顔面から地面に倒れ込め。そして立ち上がれ! そしたら、てめぇの顔についてる泥位なら、俺が落としてやる」
「ぎ、銀時……」
「俺はてめぇの事なんか嫌いだし、てめぇの母親も嫌いだ。だが、てめぇはてめぇの母親をどう思ってる? 只の鬼婆だと思ってるのか?」
銀時の問いにフェイトは、首を横に振った。それを見た銀時が、静かに微笑んだ。その答えを、待っていたかの様に。
「そうだな。例え回りが何と言おうと、回りがどれ程あの女を蔑んで罵倒しようとも、お前にとっちゃたった一人の母親だな。だったら、お前がすべき事はたった一つしかねぇじゃねぇか」
「たった一つ……それって、一体何なの?」
「なぁに、簡単な事さ。てめぇがあの鬼婆を叱ってやるんだ」
「私が、母さんを……叱る?」
いまだに銀時の言いたい事が理解出来なかった。子が親を叱る。
普通なら絶対に口から出ない言葉だ。
だが、それを銀時は迷う事なく言い放ったのだ。
「親が子を叱るのは当然の事だ。子供ってのは、経験も浅いし、常識もない。何が良い事で何が悪い事かの判別も出来ない青びょうたんだ。そんなクソガキを叱るのは親の務めなんだよ。だが、それじゃ親は誰が叱れば良い? もし親が間違いを犯したら、誰が親を叱るんだ? 誰が親に正しい道を教えてやれば良い?」
「正しい、道を……教える?」
「そうだ、親が間違った事をしていたら、それを叱るのが子供の義務だ。親を叱れるのはそのガキしかいねぇんだ。クソな親を叱れるのはクソガキしか居ねぇ。あの鬼婆を叱れるのはこの世で只一人、てめぇを置いて他に居ねぇんだよ」
銀時の言葉はフェイトの胸に深く深く突き刺さった。今まで自分を虐待し続け、そして最後には無残にも捨てて行った母を、自分が叱りに行く。
そんな事をして良いのだろうか?
「決めるんなら早くしな。強制はしねぇ。だが、俺達は少なくともあの女を叱りに行く気なんざさらさらねぇ。悪いがあの女が俺達の進路を妨害するってんなら……俺は容赦なくあの女を殺す!」
「か、母さんを!」
「悪いが俺も其処まで他人に気を回せる程度量の広い男じゃねぇ。自分の娘守るだけで手一杯なんだ。他人の親に気を回すなんて器用な事出来ねぇよ。だからお前が決めろ。お前のお袋を叱るか? それとも見捨てるか?」
銀時が助けようとしているのはなのはだけだ。自分の大切な娘を助けようとしているのだ。
そして、彼が助けようとしているその中に、プレシアは含まれてはいなかった。
もし、プレシアが銀時の助けようとしている進路を妨げる事となった場合、銀時は一切容赦する事なくプレシアを切り殺す
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