第26話 親は子を叱れてこそ一人前
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「歯ぁ食いしばれや、このクソガキィィィ―――!」
握っていた木刀を強く握り締め、頭上へと高く持ち上げた。今更回避する事は出来ない。
先ほどの魔力砲で殆どの魔力を費やしてしまった為に、高ヶ度へ逃げる事も出来ないし、高速移動も出来ない。跳躍するにも低空飛行中ではそれも敵わない。
咄嗟に、フェイトは両手を頭上でクロスし、目を強く瞑った。覚悟を決めたのだ。
あの目から察するに、銀時は渾身の力で木刀を振り下ろす。人の頭蓋を西瓜でも割るかの様に叩き割るつもりなのだ。
今更、弱りきった少女の腕二本では止められる筈がない。それごと切り伏せられるのがオチだ。
分かってはいたが、それでもフェイトはそうしたのだ。
痛みは一瞬にして伝わった。
ただし、脳天ではなく、頬にであったが。
「え?」
違う箇所から感じた痛みに、フェイトは驚き、目を開いた。
其処に居たのは、フェイトの頬を叩いた手を振り切っている銀時の姿があった。因みに、先ほどまでもたれていた木刀は何時の間にか彼の腰に挿しこまれている。
「はぁい、これにて終了〜」
「ど、どう言う事? トドメを刺さないの?」
「はぁ? お前何処のラスボス気取り? お前なんかにトドメなんか刺す気もなけりゃ必要もねぇよ」
一足先に戦闘を終えて帰り支度をしようとしている銀時にフェイトは問い掛けた。この男は戦いに来たのではなかったのか?
そんな疑念があったのだ。
「何で、勝ったんだったら、勝負をつけるんじゃないの?」
「勘違いすんなよ。俺はお前と戦いに来た訳じゃない。俺は、お前を叱りに来ただけだ。禄な教育を受けてないドラ娘に、社会の厳しさを嫌って言う程叩き込む為にわざわざこうして来てやったんだ。感謝しろよなクソガキ」
大層憎たらしそうな言い方をする。その言い方に難癖つけようとしたが、止める事にした。どの道自分は負けたのだ。
完膚なきまでに敗北してしまったのだ。となれば、敗者にどうこう言う資格などない。ただ勝者の言い分に従うだけだ。
「さぁて、勝負に勝ったんだ。お前が連れてった家の娘の居場所。洗いざらい吐いて貰おうかぁ?」
「分かった。言う……言えば良いんでしょ?」
「あんれぇ? 銀さん耳がおかしくなっちゃったかなぁ? 目上の人に対する口の聞き方じゃないよねぇ?」
「ぐっ……」
腹が立つ。
その一言に尽きた。今まで散々憎み続けてきたせいか、この一言に対して大層憎しみが募っていくのが分かる。
が、自分は敗者なのだ。勝者に逆らう事は出来ない。
「ほらほらぁ、ちゃんと目上の人に対する言い方ってのがあるだろう? ちゃんとそう言ってくんないと話が進まないんですけどぉ?」
「お、おしえ……ます」
「声が小さくて聞こえませぇん。シャイ
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