第26話 親は子を叱れてこそ一人前
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切りつけ続けたのだ。
銀時に見破られる危険性を承知の上で。
正に命がけの戦法と言えた。
「大した奴だよ、お前は。で、この後どうするつもりだ? まさか俺の口に大量の塩水でも流し込もうって算段じゃねぇだろうな?」
「まさか? そんな方法よりももっと確実な方法で貴方を仕留めるわ」
そう言い切った。そして、持っていたバルディッシュを水平に構えて、銀時に穂先を向けた。
足元に巨大な魔方陣が展開し、彼女の体から杖へと魔力が集められていく。
黄色い稲妻が迸り、周囲に輝く雷撃の弾が浮かびだす。明らかにやばそうな技だと言うのは明白の事だった。
「あり? もしかしてそれを俺にぶつけるつもり? でも、銀さん君みたいにバリアジャケットも纏ってないし魔力結界も使えないよ。ピンの状態だよ。そんな銀さんにそんな技使ったら、ハッキリ言って銀さん死んじゃうかも知れないよぉ」
「安心して。死んでも骨位は拾ってあげるから」
「全然安心出来ねぇよおおおおおおおおおおお!」
青ざめた顔で銀時が泣き叫ぶ。しかし、そんな銀時のことなど全く無視し、フェイトは引き金を引き絞った。
「これで、さようなら。フォトンランサー・ファランクスシフト。ファイアァ!」
名を叫び、極太の魔力砲が発射された。避ける事が出来ず、銀時は一身にそれを浴びてしまう。
銀時を飲み込んだまま、その魔力砲は海面に激突し、水しぶきを上げて飛び散った。
周囲の残骸を破壊し、波を巻き起こし、巨大な波紋を作り上げた。
波紋が消え去った後、目の前に居る筈の銀時の姿は影も形もなくなっていた。
塵も残さず消滅したか?
デバイスの切っ先を下ろし、フェイトは安堵する。これで後顧の憂いを断つ事が出来た。
後はその辺に散らばっているであろうジュエルシードを回収すれば事は済む。
足に掛けていた封印を解き、低空を飛び回りながら周囲を散策する事にした。
背後の水が持ち上がった。フェイトがそれに気づいた時には、持ち上がった水は既に彼女の頭を通り越していた。
水が弾かれ、その中から現れたのは、ところどころ黒く焦げ、傷だらけになった銀時であった。
「そんな……あれを食らって、まだ!」
「海に向って撃ったのはお前のミスだったなぁ」
どうやら海面に向かい激突した際に魔力砲の威力が殺されたのだろう。
その為銀時はこうして無事で居られたのだと言える。
咄嗟に再度攻撃しようとフェイトはデバイスを両手で持とうとした。
だが、それよりも前に銀時が逆袈裟掛けに木刀を振り上げる。天空を回りながらフェイトのバルディッシュは海面に顔を出している残骸に突き刺さった。
一瞬にして丸腰にされてしまったフェイトに向かい、鬼の形相となった銀時が迫る。
「あ、あぁ!」
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